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ホーム > 調査・研究 > 日本銀行レポート・調査論文 > 調査論文 2011年 > (論文)コア預金モデルの特徴と留意点:金利リスク管理とALMの高度化

コア預金モデルの特徴と留意点

金利リスク管理そしてALMの高度化に向けて

2011年11月24日
(2013年10月4日更新)
(2014年3月31日更新)
日本銀行金融機構局

更新のお知らせ(2013年10月4日)
今般、図表1、図表2、図表14および関連記述の更新を行いました。

更新のお知らせ(2014年3月31日)
今般、2013年10月23日に開催したワークショップ「銀行勘定における金利リスク管理 — 預貸金のデュレーションの把握 —」で得られた議論に基づく更新を行いました。

要旨

金融機関のALMは、オフバランス取引を含む資産・負債が、金利の変動などによりどの程度のリスクを負っているかを把握し、調達コストの削減や運用の効率化を図り、収益の極大化のために資産と負債の最適な組み合わせを総合的に管理していく手法である。とりわけ、資産・負債構造のミスマッチによって生じる金利リスクを管理していくことは、金融機関にとって収益獲得の源泉でもあるため、ALMの最も重要な目的の一つとされている。

そうした中で、ALMにおける流動性預金の取り扱いは長年の課題となっている。流動性預金は、満期が明確に定められておらず、預金者の裁量で随時引き出すことが可能であるが、現実には、流動性預金の中に長期間滞留する部分(以下、「コア預金」とする)が存在することが知られている。こうした状況に対して、近年、大手金融機関に加えて、地域金融機関においても、流動性預金の実質的な満期を把握し金利リスク量を計測するコア預金モデルを導入する動きが広がっている。

金融機関の実務で用いられている金利リスク管理上のコア預金は、金利上昇局面を勘案したものになっている。わが国の場合、過去十数年間、金利上昇局面がほとんどみられなかったこともあって、様々な考え方でコア預金のモデル化が行われている。モデルの種類も増えてきているが、現時点では、コア預金モデルの標準的な手法は必ずしも確立していない。流動性預金の残高は大きく、増加傾向にある中で、コア預金モデルを採用するか否か、またどのようなモデルを採用するかによって、金利リスクの量は大きく変わりうるほか、金利上昇が金融機関収益に与える影響の方向性さえも変わりうる。こうした中で、金利リスク管理を適切に行っていくには、経営陣や企画・リスク管理部署がコア預金モデルの特徴や留意点を十分に理解するとともに、モデルの妥当性を不断に検証していくことが重要である。

コア預金モデルは、将来のバランスシート全体の収益・費用分析や預金セグメントの収益性分析などALM全般での利用が考えられ、既にそうした取り組みを始めている金融機関もみられる。もっとも、そうした分析に際しては、詳細なデータの蓄積など取り組むべき課題も多い。今後、金利リスク管理とALMの高度化に向けて議論が深まることが期待される。

日本銀行から

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