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東日本大震災直後の金融・決済面の動向

:データに基づく事実整理

2013年3月11日
日本銀行決済機構局

はじめに

2011年3月11日に東日本大震災が発生してから2年が経過した。震災による被害は、言葉に尽くせぬほど甚大かつ広範なものであり、今もなお被災からの復興に向けた努力が続けられている。

東日本大震災は、被災地に所在する金融機関にも甚大な被害を与えた。多くの店舗が地震の揺れによる損壊や津波による浸水などの被害から閉鎖を余儀なくされた。また、金融市場においても、取引量の急激な変動などの影響がみられた。しかし、金融機関や決済システム関係者の多大な尽力により、金融インフラの機能は全体として維持された。日本銀行は、こうした状況について、震災から3か月が経過した時点で調査論文を取りまとめた(日本銀行決済機構局「東日本大震災におけるわが国決済システム・金融機関の対応」、2011年6月、以下「前回調査論文」)。そこでは、日本銀行を含め、わが国決済システムや金融機関が震災当時にどのような対応をとり、どのように金融・決済機能を維持したかが解説されている。また、日本銀行は、震災から1年が経った2012年3月に「東日本大震災を踏まえた今後の業務継続体制について」と題するセミナーを開催し、被災地の金融機関経営者の方々を含む有識者をお招きして講演およびパネル・ディスカッションを実施し、震災当時の経験や教訓などを踏まえつつ、今後の業務継続体制の整備に向けた議論を行った。さらに、被災地金融機関の一部の先では、震災時の自らの経験やそこから得られた教訓等について、今後の業務継続体制の在り方を考えていく上での参考とすべく情報還元を行っている。

これに対し、本稿の目的は、震災から2年が経過した現時点までに利用可能となった金融・決済面のデータを整理し、震災当時の状況を客観的に振り返るうえで有用な情報を集約しておくことにある。データのみで当時の経験を語り尽くすことはできないとは言え、震災直後に被災地の人々や金融機関が直面したさまざまな困難とその対応について客観的なデータに基づく事実整理を行っておくことは、将来の大規模自然災害に対する備えのあり方を検討するうえで有益であると考えられる。

以下、2節では、被災直後の金融市場の動きと日本銀行の対応に焦点を当てる。3節では、被災地における決済機能の維持について、(1)被災地金融機関における流動性の確保、(2)現金供給体制の維持、(3)企業金融面での対応、という点から整理する。4節では、証券・デリバティブ市場と内国為替の決済動向について振り返る。5節では、最近の業務継続体制の見直しに向けた動きなどを整理し、6節でまとめを述べる。

日本銀行から

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照会先

決済機構局 

小田 信之、遠藤 祐司
E-mail : post.pr@boj.or.jp