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わが国短期金融市場の動向

東京短期金融市場サーベイ(14/8月)の結果

2014年10月10日
日本銀行金融市場局

東京短期金融市場サーベイの概観

はじめに

日本銀行金融市場局は2008年以降、わが国短期金融市場の取引動向などを把握するため、「東京短期金融市場サーベイ」を実施している。このサーベイは当初は隔年で実施していたが、市場動向をより的確にフォローする観点から、昨年より毎年実施することとしており、本年8月、第5回目となる調査を実施した。

このサーベイは、従来同様、日本銀行のオペレーション対象先および短期金融市場の主要な参加者を対象として実施している。今回のサーベイの調査対象先は296先と、昨年の284先からさらに増加している(回答率100%)。

なお、従来、サーベイ実施時点(8月)から結果公表(同年12月〜翌年2月)までかなりの期間を要していたが、今回、市場参加者からの要望などを踏まえ、できる限りの公表早期化を図っている。すなわち、調査の基準時点は従来の調査同様7月末時点とし、集計結果の時系列的な比較可能性を確保する一方、結果の公表は従来と比べ2〜4か月以上前倒しし、10月に公表することとした。これは、市場動向を適切にフォローし、必要に応じて市場整備のための取り組みを円滑に進める観点から、サーベイ結果を極力速やかに市場参加者の方々などと共有した上で、これを有効に活用しながら、関係者などとの対話を重ねていくことが望ましいとの問題意識に基づくものである。

日本銀行金融市場局としては、今回のサーベイ結果も有効に活用しながら、短期金融市場も含めたわが国金融市場の活性化に向けた関係者の取り組みを積極的に支援するとともに、自らも中央銀行の立場から、可能な限りの貢献を果たしてまいりたい。

概要

短期金融市場での資金調達残高は増加し、リーマン・ショック以前の2008年夏頃の水準近くまで戻している。

この背景としては、まず、日本銀行の補完当座預金制度のもとでの超過準備の付利金利(0.1%)をメルクマールとする裁定取引の広がりが挙げられる。また、市場参加者の一部には、取引関係や社内の事務体制・ノウハウの維持、業務継続体制の強化などの目的から、無担保コール取引を継続的に行っている先もみられる。こうした動きが、取引全体の下支えに寄与していると考えられる。さらに、投資信託などの主体が、株価上昇などを受けて増加した余剰資金を短期金融市場で運用していることや、日本銀行の大規模な国債買入れのもとで国債の特定銘柄の調達ニーズが高まったことなどを受け、レポ取引が増加していることが、取引全体の増加に寄与しているとみられる。

この間、国庫短期証券などの運用利回り低下や収益性が見込みにくくなった有担保コール取引を抑制する動きが一部でみられていることを受けて、短期金融市場の収益性や機能度が前年に比べ低下したと回答する先が全体の3割程度でみられた。もっとも、全体の6割程度の先では、短期金融市場の収益性や機能度は、前年と比べ「概ね変わらない」と回答している。

これらの点を踏まえると、わが国の短期金融市場の機能は全体として維持されていると考えられるが、日本銀行としては、今後とも短期金融市場の動向を、日々のモニタリング活動や本サーベイ、市場参加者との対話などを通じて、適切にフォローしていく考えである。

日本銀行から

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