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ビッグデータを用いた経済・物価分析について

研究事例のサーベイと景気ウォッチャー調査のテキスト分析の試み

2015年6月25日
日本銀行調査統計局
岡崎陽介※1
敦賀智裕※2

要旨

近年、経済活動と情報技術(IT)の結び付きが強くなるもとで、大規模かつ多種多様なデータ(「ビッグデータ」)が生成され、経済・物価分析に徐々に活用されるようになりつつある。本稿では、同分野における2000年代後半以降の研究動向のうち、経済・物価動向の把握を目的としたものに注目する。そして、豊富な研究例が報告されている(1)インターネット検索データ、(2)POSデータ等のスキャンデータ、(3)テキストデータを用いたものを中心に、概要をとりまとめている。これらは、速報性・リアルタイム性の高さ、これまで定量化されてこなかった定性的な情報の活用、既存のマクロ経済指標を補完するような新たな経済指標の作成・公表等といった観点で、従来にはない視点を提供している。勿論、これら以外にも、カード決済や企業間取引等の多種多様なデータを用いた研究や、経済理論の構造的な実証や因果推論を目的とした研究など、適用範囲は急速に広がっている。

さらに、これまで研究事例は豊富に報告されてきたが、実務に応用されるケースが少なかったテキスト分析の応用可能性を評価するため、内閣府の「景気ウォッチャー調査」のテキストデータの分析を行った。その結果、テキストデータの機械的な処理に伴う日本語特有の難しさといった課題もみられたが、経済主体のセンチメントの特徴を評価する上で有用であることがわかった。今後は、こうした試みが研究機関や民間調査機関等においても行われていくことで、経済・物価分析に適した分析手法の確立、応用事例の蓄積等が一層進展していくことが期待される。

  • ※1E-mail : yousuke.okazaki@boj.or.jp
  • ※2E-mail : tomohiro.tsuruga@boj.or.jp

本稿の作成にあたっては、亀田制作、塩谷匡介、代田豊一郎、中島上智、中村康治、原尚子、前田栄治の各氏及び日本銀行のスタッフ各位から有益なコメントを頂いた。残された誤りは全て筆者に帰する。なお、本稿の内容と意見は筆者ら個人に属するものであり、日本銀行あるいは調査統計局の公式見解を示すものではない。

日本銀行から

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照会先

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