日本銀行本店

日本銀行レポート・調査論文

ホーム > 調査・研究 > 日本銀行レポート・調査論文 > 調査論文 2015年 > (論文)2020年東京オリンピックの経済効果

ENGLISH

2020年東京オリンピックの経済効果

2015年12月28日
日本銀行調査統計局
長田充弘*1
尾島麻由実*2
倉知善行*3
三浦弘*4
川本卓司*5

要旨

2020年に開催される東京オリンピックは、主として、(1)訪日観光需要の増加と(2)関連する建設投資の増加という2つの経路を通じて、わが国経済にプラスの効果を及ぼすと考えられる。

訪日外国人数は、訪日観光ビザの要件緩和や為替円安等を背景に、このところ順調に拡大しており、2020年に 2,000万人という政府目標の達成は、ほぼ確実な情勢となっている。この点、諸外国との比較でみても、訪日客の増加余地はなお大きく、東京オリンピックを見据えた観光客誘致政策の強化などを通じて、訪日観光需要を一段と拡大させていくことは十分に可能であるとみられる。その際には、諸外国の経験を参考にすると、オリンピック観光客が首都圏のみならず地方にも回遊するルートを整備しつつ、わが国全体の観光資源の魅力を高めることにより、息の長い観光需要の増大につなげていくことが重要である。

オリンピック関連の建設投資には、オリンピック会場設備など直接的な需要だけでなく、民間ホテルの新築・増改築や都心の再開発、商業施設の建設や交通インフラの整備といった間接的な需要も含まれる。過去のオリンピック開催国のパターンを参考にすると、関連する建設投資は、2017〜2018年頃にかけて大きく増加したあと、2020年頃にかけてピークアウトしていくと予想される。

こうした建設投資のブーム・アンド・バストによる景気の大きな振幅を回避するためには、上述の観光客誘致策に加え、規制緩和をはじめとする各種の成長力強化に向けた取り組みを通じて、新規需要を掘り起こしていく必要がある。同時に、そうした新規需要の増加を供給面から支えていくためには、労働生産性の向上や女性や高齢者などの労働参加を一段と促進するなど、人手不足というわが国が直面する構造問題に、これまで以上に取り組んでいく必要がある。

本稿の作成に当たっては、前田栄治、関根敏隆、白塚重典、中村康治、加藤直也、前野良太の各氏及び日本銀行調査統計局経済調査課のスタッフから有益な助言やコメントを頂いた。ただし、残された誤りは全て筆者に帰する。なお、本稿の内容と意見は筆者に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。

*1日本銀行調査統計局 E-mail : mitsuhiro.osada@boj.or.jp
*2日本銀行調査統計局(現・総務人事局) E-mail : mayumi.ojima@boj.or.jp
*3日本銀行調査統計局 E-mail : yoshiyuki.kurachi@boj.or.jp
*4日本銀行調査統計局 E-mail : kou.miura@boj.or.jp
*5日本銀行調査統計局 E-mail : takuji.kawamoto@boj.or.jp

日本銀行から

本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行調査統計局までご相談ください。
転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

照会先

調査統計局経済調査課景気動向グループ

Tel : 03-3279-1111(代表)

ページ先頭に戻る