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人民元国際化について

―これまでの取り組みと評価を中心に―

2016年5月9日
日本銀行国際局
猪又祐輔*1
大谷聡*2
杵渕輝*3
松永美幸*4

要旨

中国は、先般の国際金融危機以降、企業・金融機関の為替リスク削減や中国経済の規模拡大に見合った国際的地位の獲得等を目的に、いわば国策として人民元国際化を推進している。そのために、中国は、他の先進国でも行われてきた金利自由化・貿易や国際的な金融取引に関する規制緩和(資本取引自由化)・市場インフラの整備だけでなく、通貨スワップと人民元建て経済援助を通じた海外への人民元の供給、トップ主導の通貨外交の展開など、政治・経済面で総力をあげた対応を実施している。こうした取り組みもあって、人民元国際化は着実に進展しており、先行きについても、中国の経済規模や政治的意思等を踏まえると、人民元国際化は進展していく可能性が高いとみられる。ただし、中国の資本規制や発展途上にある金融資本市場の状況に鑑みると、人民元が主要な国際通貨になるには相応の時間がかかると考えられる。今後、中国が国策として掲げている人民元国際化を一段と進めていくためには、市場メカニズムが機能する金融資本市場の育成・発達、金融経済の安定を維持する中での資本取引の自由化の一層の推進を通じて、人民元の価値貯蔵手段としての機能を向上させることが必要である。

  1. *1日本銀行国際局 E-mail:yuusuke.inomata@boj.or.jp
  2. *2日本銀行国際局 E-mail:akira.ootani@boj.or.jp
  3. *3日本銀行国際局 E-mail:hikaru.kinefuchi@boj.or.jp
  4. *4日本銀行国際局 E-mail:miyuki.matsunaga@boj.or.jp

本稿の作成にあたっては、日本銀行スタッフから有益なコメントを得た。図表作成については、岡嵜久実子氏、呉冰氏、福島駿介氏の協力を得た。本稿の内容と意見は筆者ら個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。

日本銀行から

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