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2015年度の金融市場調節

2016年6月3日
日本銀行金融市場局

概観

日本銀行は、2015年度において、「量的・質的金融緩和」のもと、長期国債の多額の買入れなど、広範な資産の買入れを通じてマネタリーベースを大きく拡大させる極めて強力な金融緩和を進めた。さらに、2016年1月には、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入し、「量」・「質」・「金利」の3つの次元で緩和手段を駆使して金融緩和を一段と強化することとした。

すなわち、日本銀行は、2013年4月に導入し、2014年10月に拡大した「量的・質的金融緩和」のもとでの金融市場調節方針に従って、長期国債や国庫短期証券、CP等、社債等、ETF、J-REITといった広範な資産の買入れを通じて、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を進めた。さらに、日本銀行は、2016年1月28~29日の金融政策決定会合において、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を決定した。具体的には、金融機関が保有する日本銀行当座預金を3段階の階層構造に分割したうえで、その一部にマイナス金利を適用することでイールドカーブの起点を引き下げ、従来と同様の大規模な長期国債の買入れとあわせて、金利全般により強い下押し圧力を加えていくことが決定された。

このような金融市場調節の結果、2015年末のマネタリーベースは356.1兆円と、前年末に比べ80.3兆円増加した。さらに、マイナス金利の導入決定後も、マネタリーベースを着実に増加させる調節を行ったことから、2016年3月末のマネタリーベースは375.7兆円と、前年に比べ79.8兆円の増加となった。また、日本銀行の保有する長期国債の残高は2015年末で282.0兆円と、前年末に比べ80.3兆円増加し、2016年3月末には301.9兆円と、前年に比べ81.8兆円の増加となった。

なお、日本銀行は、2015年12月17~18日の金融政策決定会合において、「量的・質的金融緩和」を補完するための諸措置の導入を決定した。これにより、2016年1月以降、長期国債買入れの平均残存期間を、それまでの7年~10年程度から7年~12年程度に長期化することとした。また、新たなETF買入れ枠を設定し、「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」の株式を対象とするETFを買入れることや、J-REITの銘柄別の買入限度額を引き上げることなども決定した。

本稿では、まず、2015年度の金融市場調節運営の概要を説明し、次に、そのもとでの国内資金・債券市場等の動向を概観する。そのうえで、個々の金融市場調節手段の運営状況や、金融市場調節運営に関する制度変更について述べる。最後に、市場参加者との対話に関する取り組みについて紹介する。なお、これらとは別に、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」のもとでの当座預金の階層構造についても、やや詳しく説明している。

日本銀行から

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