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「経済センサス」を受けた短観の標本設計見直しについて

2016年8月17日
日本銀行調査統計局

要旨

本稿では、「経済センサス」を活かした、より効率的な短観の標本設計方法について検討した。現行短観では、業種・資本金・雇用者数の三つの層化抽出の基準で母集団推計層を設定し、標本を設計している。新たに利用可能となった「経済センサス」を母集団情報として用いると、売上高等の短観の計数項目に関する母集団データが直接入手できるため、短観の統計精度をより厳密に計測できるほか、層化抽出に用いる基準を変更するなど標本設計の見直しを行うことで、統計精度の改善を図ることが可能となる。

「経済センサス」を用いて短観の統計精度を計測すると、売上高の母集団合計に関する推計値の標準誤差率は、一部業種で高めであるが総じて良好な水準であった。一方で、設備投資額の標準誤差率は売上高と比べ、中小企業を中心に大きくなった。さらに、売上高や設備投資額の推計値は、実額ベースでは「経済センサス」の母集団集計値と比べやや過大であるが、変化率ベースでは、乖離は小さく、利用には支障が生じないことも明らかとなった。

こうした定量的な評価に基づき、統計精度改善と調査対象企業全体でみた回答負担の抑制の両面に配慮した、標本設計の見直し方針を提示した。この方針に基づき、(1)標本設計において層化抽出の基準を雇用者数から売上高に変更するとともに、(2)調査対象企業の一部を削減する、との見直しを実施すると、売上高や設備投資額の統計精度をさらに改善することが可能となる。

日本銀行では、本稿の結果を踏まえて詳細を検討し、新しい標本設計方法を用いて、次回(2018年頃)の短観調査対象企業の見直しを実施する予定である。

本稿は、「『全国企業短期経済観測調査』の見直し方針—ご意見のお願い—」(2016年6月1日)で示した短観の「見直し方針」の一つである「『経済センサス』を用いた標本設計の効率化」について、分析の詳細を説明したものである。本稿の作成に当たっては、北村行伸氏(一橋大学)、西郷浩氏(早稲田大学)、菅幹雄氏(法政大学)、舟岡史雄氏(日本統計協会)、元山斉氏(青山学院大学)、森川正之氏(経済産業研究所)、美添泰人氏(青山学院大学)および日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂いた。

日本銀行から

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