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現物国債市場の流動性:高粒度データによる検証

2018年3月19日
日本銀行金融市場局
崎山登志之*1
小林俊*2

要旨

日本銀行では、国債市場の流動性に関するモニタリングの一環として、各種の流動性指標を作成し、概ね四半期毎に「国債市場の流動性指標」として公表している。とりわけ長国先物市場については、個別の取引データ──いわゆる高粒度データ──から指標を作成することで、日中の流動性の状況等も含め仔細に点検してきた。

本稿では、国債市場の流動性を従来以上にきめ細かく把握する必要性が高まっていることから、現物国債市場について、流動性指標の拡充を行った。具体的には、新たに入手したディーラー間取引に関する高粒度データを活用し、日中や銘柄別の流動性の状況等を把握できる指標を構築した。

新たな流動性指標をみると、全体としては、2016年初にやや大きめに低下した後、同年秋頃から徐々に改善してきているように窺われる。これは、価格や注文量の面からみれば、マイナス金利政策の導入直後に比べて取引を行い易い環境にあることを示唆している。ただし、現状、取引高の増加を伴っているわけではなく、先行きの動向には留意が必要である。このほか、新たな指標を仔細にみれば、残存年限が短めのゾーンや既発債の取引について、改善の程度が遅れ気味であるほか、一時的に流動性が低下する場面も観察され、こうした点は市場参加者の指摘とも整合的である。

以上の考察を踏まえれば、今後、国債市場の流動性については、本稿で構築した新たな流動性指標も含めて点検していくことが有益である。もっとも、市場流動性は、定量的な指標のみで把握できるものではないため、サーベイや各種会合等を通じた市場参加者の見方の把握も含め、引き続き、多面的な観点から確認していくことが重要である。

本稿の執筆に当たっては、日本銀行スタッフから有益な助言やコメントを頂いた。ただし、残された誤りは全て筆者らに帰する。なお、本稿の内容と意見は筆者ら個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行金融市場局 E-mail : toshiyuki.sakiyama@boj.or.jp
  2. *2日本銀行金融市場局 E-mail : shun.kobayashi@boj.or.jp

日本銀行から

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