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働き方改革と企業の取り組み―働き方改革を生産性の向上に結び付けた先進例―

2019年1月16日
日本銀行調査統計局
川島迪仁*1
加藤直也*2

要旨

本稿では、働き方改革に関する我が国企業の対応を、各種アンケートや企業からの聞き取りなどに基づき整理し、働き方改革の効果と当面の課題について考察する。
政府は、多様な働き方の実現と、それに伴う労働生産性の向上を企図して、「働き方改革」を進めている。働き方改革がこのように労働政策(労働者の権利保護)と経済政策(労働生産性の向上)という二つの側面を有する政策として捉えられる中、企業では、労働時間の上限規制見直しが2019年4月に予定されていることもあって、これまでのところ、長時間労働の是正に主眼を置いた施策に取り組んでいる先が多い。こうした取り組みに対して、企業からは、労働時間の削減効果が認められるもとで、今後の重要な経営課題として、生産性の向上や付加価値の創出を挙げる声が多く聞かれている。
こうした中、働き方改革を生産性向上に繋げた先も既にみられつつある。それらの先進例からは、経営層が主体的に関与するもとで、業務プロセスの見直しや質の高いIT投資を行っていくことの重要性が浮き彫りとなった。そうした施策により、労働生産性の向上や女性等の労働参加の拡大という効果も享受できるとみられる。また、働き方改革を通じて、労働力が付加価値の高い業務や「成長セクター」にどのようにシフトしていくのか、また、雇用や労働市場の流動性がどのように変化していくのか、今後注目される。

本稿の執筆に当たっては、関根敏隆、大山慎介、一上響、須合智広の各氏および日本銀行スタッフから有益な助言やコメントを頂いた。分析に当たっては、大企業および関係団体からの聞き取り調査を参考にさせて頂いた(本稿に記された情報は、2018年11月時点までの聞き取り情報および公表情報に基づく)。図表作成では、小出芳靖、海道裕太郎、平野竜一郎の各氏にご協力を頂いた。ここに、記して感謝の意を表したい。ただし、残された誤りは全て筆者らに帰する。なお、本稿の内容と意見は筆者ら個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行調査統計局 E-mail : michihiro.kawashima@boj.or.jp
  2. *2日本銀行調査統計局 E-mail : naoya.katou@boj.or.jp

日本銀行から

本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行調査統計局までご相談ください。
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照会先

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