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国債市場の流動性に関する考察

日中ビッドアスク・スプレッド分析を中心に

2003年12月25日
種村知樹
稲村保成(現考査局)
西岡慎一
平田英明
清水季子

日本銀行から

マーケット・レビューは、金融市場に関する理解を深めるための材料提供を目的として、日本銀行金融市場局が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問は、日本銀行金融市場局 清水までお寄せ下さい。

以下には、(要旨)を掲載しています。全文は、こちら (kmr03j10.pdf 120KB) から入手できます。

要旨

 わが国の国債市場の流動性は、2000年以降市場改革が進展したことを受けて大きく向上した。市場流動性は“市場での取引のし易さ”を表す概念と定義できる。国債市場の一段の改善を促すためには、その前提として、市場流動性を規定する要因を理解するとともに、市場流動性の動向を分析することが必要である。市場流動性の動向を分析する上では、日中の取引動向を記録したティックデータと呼ばれる高頻度の情報が有用である。今般、国債市場の日中ビッドアスク・スプレッド・データを用いて分析を行ったところ、債券残存期間が長いほどスプレッドが大きいという米国債市場と同様の傾向が観察されたほか、相場変動が激しい場合にスプレッドが拡大するという市場参加者の実感を裏付ける関係が定量的に確認できた。