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消費者物価指数のコア指標

2006年4月24日
企画局
白塚重典

要旨

日本銀行は、物価の安定を達成することを通じ、持続的な経済成長に貢献していくことを、金融政策運営上の理念としている。その場合、達成すべき物価の安定とは、短期的・一時的な物価安定ではなく、中長期的に持続可能な物価安定であることは、主要国中央銀行の共通の認識となっている。この使命を達成するために、観測される物価指数の変動から、様々な一時的な撹乱要因の影響を取り除き、物価の基調的な変動を的確に見極めていく必要がある。本稿では、わが国の消費者物価指数について、一時的な撹乱要因の影響を検討した上で、物価の基調的な変動を捕捉するためのコア指標をいくつか計算し、そのパフォーマンスを比較する。基調的な物価変動の捕捉力、将来の総合指標の変化の方向性の予測力について、統計的な手法で比較すると、総合的にみて、除く生鮮食品、10%刈込平均のパフォーマンスが幾分高いと判断できる。消費者物価の動向を点検していくに当たっては、これまでも重視されてきた除く生鮮食品を含め、消費者物価指数の複数の指標をみていくことで、消費者物価変動に対する様々な一時的な撹乱要因の性質や規模を把握し、基調的な変動を見極めていくことが重要と考えられる。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。
ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問は、企画局 加藤までお寄せ下さい。