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資本市場の不完全性下の金融政策

2006年7月21日
金融研究所
福永 一郎

要旨

日本経済が90年代に経験した資産価格の低迷や金融システムの不安定化は、実体経済活動の不振を反映しただけでなく、実体経済活動の不振をさらに深刻化させる要因としても働いていた可能性がある。本稿では、新しいケインズ経済学の枠組みに、資金が効率的な投資機会に行き渡らないような資本市場の不完全性を導入することによって、実体経済活動と金融面の動きとの間の上述のような双方向の関係を考慮した場合の、金融政策の有効性や望ましい運営のあり方について考察する。資本市場が不完全な場合、金利の経路を通じた金融政策の効果は、企業や銀行の財務状況の変化を通じた経路(クレジット・チャネル)によって増幅されながら、実体経済に波及していく。さらに、経済に加わった様々な種類のショックの影響についても、実体経済と金融面の双方向の関係によって増幅されながら波及するメカニズム(ファイナンシャル・アクセラレーター)が働く。この場合の望ましい金融政策ルールは、理論的には、インフレ率やGDPギャップに加えて、資産価格など金融面の動きに反応するものになる可能性も考えられる。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。
ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

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