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最近の貸出スプレッド縮小の背景を巡る分析

時系列分析に基づく要因分解

2007年5月24日
金融機構局
三尾仁志

要旨

銀行の貸出金などの利息収入を反映する資金利益が、伸び悩んでいる。その背景として、資本市場の発達や各種の規制緩和の影響により、貸出業務の利鞘が趨勢的に縮小しているとの見方が示されることがある。こうした見方を検証するため、本稿では、預貸利鞘のうち、貸出金利と市場金利の差である「貸出スプレッド」の変動を、(1)資本市場の発達や各種の規制緩和等の影響を受ける長期的要因と、(2)景気動向の影響を受ける循環的要因、(3)貸出金利の粘着性の影響を受ける短期的要因に分解する。分析の結果、最近の貸出スプレッドの縮小は、長期的要因の縮小ではなく、持続的な景気回復を背景とした循環的要因の縮小によって概ね説明できることが分かった。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。
ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問は、日本銀行金融機構局 白塚重典までお寄せ下さい。