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証券化商品のリスク特性の分析

再証券化によるレバレッジ上昇のインパクト

2008年9月5日
金融機構局
稲村保成 白塚重典

要旨

米国サブプライム住宅ローン問題に端を発する国際金融市場の動揺のなかで、主要金融機関において、証券化商品を中心に評価損・実現損の計上が相次いだ。なかでも、証券化を重ねた再証券化商品において、損失が著しく拡大した。この点を踏まえ、本稿では、トリプルA相当の証券化商品を想定し、そのクレジットスプレッドについて、原資産プールのデフォルト率やデフォルトの相関等のリスク特性の違いによって、どのように影響を受けるかという視点から分析を行った。その分析からは、同じトリプルAの商品であっても、1階建ての証券化商品よりも再証券化商品の方が、また、再証券化商品の場合は裏付トランシェの劣後度合いが高まるほど、デフォルト率等のリスク特性の違いに対する感応度が高まるとの結果が得られた。この結果を踏まえると、証券化を重ねるほど、原資産プール全体としてのリスク特性の変化を的確に捉えることが重要となってくることが理解できよう。証券化商品の格付の意味合いや再証券化商品のリスクなども含め、証券化商品への投資に際する審査・リスク管理の体制整備を進めていくことが重要である。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。
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