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中央銀行におけるマクロ経済モデルの利用状況

2008年12月4日
調査統計局
一上響 小島早都子 代田豊一郎 中村康治 原尚子

要旨

各国の中央銀行では、数年先までの経済予測やリスク評価を行ううえでの有効なツールの一つとして、マクロ経済モデルを利用している。最近では、予測や分析に関する頑健性の確認などを目的に複数のモデルを用いるべきという、「Suite of Models」の考え方が浸透してきている。このため、主要な中央銀行では、経済理論と整合的な長期均衡を考慮しつつデータへのフィットも重視したハイブリッド型モデル、理論をより重視したDSGE(動学的一般均衡)モデルといった、性質の異なる複数のモデルを利用している。日本銀行でも、こうした考え方を取り入れて様々なモデルを用いており、その一つとしてこのほどハイブリッド型の新モデル「Q-JEM(Quarterly-Japanese Economic Model)」を開発した。これらモデルから得られる結果は、経済見通しや政策分析にとって有益な情報を与えるが、その際、各モデルの特性や限界などを十分に理解したうえで利用することが必要である。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。
ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問に関しましては、日本銀行調査統計局 一上響(E-mail :hibiki.ichiue@boj.or.jp)までお知らせ下さい。