このページの本文へ移動

わが国の労働力率の動向に関する一考察

2010年10月29日
調査統計局
河田皓史 永沼早央梨

要旨

近年、わが国の労働力率は低下傾向をたどっている。もっとも、男女別や年齢階層別にみるとその動きは異なっている。本稿では、男女別、年齢階層別にみた労働力率の動向について、特徴を整理した上で、それぞれの労働供給を規定する要因について、循環的な側面と構造的な側面の2つの視点から考察した。分析結果によれば、循環的な要因としては、リーマン・ショック後の景気悪化に伴い、若年男性や高齢男性が職探しをあきらめたことにより、労働力率が低下したことが指摘できる(求職意欲喪失効果)。もっとも、30代を中心とした女性については、世帯主である夫の所得の減少を受けて、補助的な所得を得るため、労働市場に参加することによって、労働力率が堅調に推移してきたことも指摘できる(家計補助効果)。一方、中長期的にみた構造的な要因としては、(1)男女ともに高齢化により労働力率は趨勢的に低下傾向をたどってきたが、(2)女性については、就労機会の拡大や就労意欲の高まりにより、その低下幅は相対的に抑制されてきたことが示唆される。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行調査統計局経済調査課景気動向グループ(代表03-3279-1111)までお知らせ下さい。