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震災が需給バランスや物価に与える影響について

2011年5月11日
調査統計局
中村康治

要旨

震災による供給水準の低下により、需給バランスはタイト化する。もっとも、同時に、マインドの委縮などが生ずる場合には、需要も減少することになり、需給バランスには緩和圧力が働く。更に、個別の市場では、需給バランスの変化が異なる。このように、震災が需給バランスに与える影響は複雑である。マクロ的な需給バランスを計測する際に用いられる生産関数についても、こうした様々な要因が作用するため、推計された需給バランスの結果については、解釈に注意を要する。震災に伴う一時的な需給バランスの変化は、中長期的な予想物価上昇率が安定しているかぎり、マクロの物価動向に与える影響は小さいと考えられる。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行調査統計局 中村康治(E-mail:kouji.nakamura@boj.or.jp)までお知らせください。