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オプション市場から見た震災後のわが国金融市場の動向

2011年6月30日
金融市場局 平木一浩

要旨

本年3月に発生した東日本大震災は、実体経済のみならず金融市場にも大きな動揺をもたらした。震災翌週の3月15日に、日経平均株価はリーマン・ショック以降最大となる1,000円を超える下げ幅を記録したほか、円相場は対ドルで一時史上最高となる76円台に急伸し、主要国は協調介入を行なった。本稿では、株式・債券・外国為替(ドル/円)の3市場について、オプション価格から得られる将来時点の価格の確率分布(インプライド分布)を抽出し、震災が各市場の期待形成に与えた影響を分析した。分析結果からは、震災の影響は、先行きの平均的な価格見通しだけではなく、市場ごとの固有の状況を反映しつつ、見通しのばらつきや歪み(テイルリスクなどの不確実性に対する市場参加者の認識)にも及んだことがわかった。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

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