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最近の高齢者の消費動向について

2012年7月18日
調査統計局 白木紀行、中村康治*

  • 現金融機構局

要旨

足もとの個人消費は、家計所得が伸びない中にあっても緩やかに増加しており、わが国のマクロの消費性向、すなわち所得に対する消費支出の割合は、上昇傾向にある。その背景として、本稿では、2つの点に着目する。第一に、若年層と比べて消費性向の高い高齢者の数が増加することによって、マクロの消費性向は継続的に押し上げられている。第二に、近年の特徴として、高齢者の消費性向が趨勢的に高まっていることも指摘できる。分析結果によると、2000年代の消費性向上昇のおよそ半分が高齢者数の増加が原因(高齢化要因)である一方、高齢者自身の消費性向が上昇した効果も相応に大きい。ここ数年の高齢者の消費性向の高まりは、相対的に消費性向が高い「団塊の世代」(いわゆる「アクティブシニア層」)が高齢者層に達していること、また、こうした高齢者の需要をとらえるべく、供給サイドにおいては、企業側の対応も徐々に進んでいることなどが影響しているように見受けられる。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

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