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中国企業の過剰債務とその生産性への影響

2017年4月28日
国際局 飯田智之、中澤崇、米山俊一、西岡慎一

要旨

中国では企業債務が急速に増加している。この背景としては、国有企業を中心とした旺盛な資金需要、潤沢な資金供給のもとでの高利回り追求の動き、規制や経営規律が十分に機能していない可能性が指摘されている。上場企業のデータをみると、近年、債務の利払いが収益を上回る「過剰債務企業」が国有企業を中心に増加している。また、そうした先の債務残高が増加傾向にある点は気掛かりである。さらに、相対的に生産性が低い過剰債務企業が増加すると、経済全体の生産性の伸びに悪影響を及ぼすことになる。中国政府は企業の過剰債務問題に対して企業合併の推進、業績不振企業の整理、債務株式転換といった施策を打ち出しているが、成長目標との両立を図るもと、思い切った取り組みが実現できるかが注目される。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

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