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時系列モデルによるインフレ率予測誤差の分析

2001年 9月
北川源四郎
川崎能典

日本銀行から

日本銀行調査統計局ワーキングペーパーシリーズは、調査統計局スタッフおよび外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行あるいは調査統計局の公式見解を示すものではありません。
なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、論文の執筆者までお寄せ下さい。

以下には、(概要)を掲載しています。全文は、こちら (cwp01j13.pdf 230KB) から入手できます。

概要

 本稿では、時系列解析の立場から我が国の消費者物価指数の前年同期比伸び率がどの程度の精度で予測可能かを検討する。前半では多変量自己回帰モデルを用いた分析を報告する。ここでの分析は探索的なものであるが、予測性のある変数についてコンセンサスがない状況下では、このような分析が有効であろう。後半では、観測不能要素モデルによる予測を試みる。この方法は、季節調整やトレンド推定に用いられる状態空間モデルを多変量に拡張したものと見なすことができるが、トレンド自体は個別に認める一方、トレンド周りの循環変動は各変数に共通すると仮定する。モデルとしてはやや強めの制約が置かれていると言えるが、この共通の循環変動は、フィリップス曲線やオーカンの法則といった、マクロ経済学における理論や経験則と対応づけながら、需給ギャップの迅速な推定を可能にすることから、経済理論に整合的な予測モデルの枠組みとして近年注目を浴びているものである。90年代に関しては、本稿の定式化の範囲では、多変量自己回帰モデルによるアウトサンプル予測精度の下限は、予測誤差の平方根平均二乗誤差で測って0.45程度、状態空間モデルで0.6程度となった。