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証券決済における決済リスク管理に関する考え方

2001年 5月11日
武田直己

日本銀行から

日本銀行信用機構室ワーキングペーパーシリーズは、信用機構室スタッフ等による調査・研究成果をとりまとめたもので、内外の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行あるいは信用機構室の公式見解を示すものではありません。

なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに対するお問い合わせは、論文の執筆者までお寄せください。

以下には、(要旨)を掲載しています。全文は、こちら (fwp01j03.pdf 308KB) から入手できます。

要旨

  1. 証券決済は、取引相手の破綻に起因する元本リスクや再構築コスト・リスク、取引先の破綻時だけでなくコンピューター・システムの故障等にも起因する流動性リスクなど、各種の決済リスクを内包している。これらのリスクを削減・抑制する方策としては、(1)元本リスクにはDVPが、(2)再構築コスト・リスクには決済期間の短縮が、(3)流動性リスクには日中随時のファイナリティのある資金決済が、それぞれ有効である。また、3つのリスクに共通する方策として、オブリゲーション・ネッティングの実行と取引相手のリスクを適切に評価・管理することが挙げられる。現実の証券決済における適切な決済リスク管理策をデザインするためには、リスクと対策との対応関係や各対策の相互関係を正しく理解し、適切にリスク管理策を選択したり組み合せたりする必要がある。
  2. 証券決済に伴うシステミック・リスクを回避するためには、日中ファイナリティのあるDVPを実現する必要がある。とくに代金決済の規模や時限性の点からシステミックなインパクトが大きい証券の決済については、日中ファイナリティのあるDVPが不可欠である。
  3. 一般論として、DVPスキームの構築にあたっては、(1)日中ファイナリティの必要性、(2)ネッティングの適否・安全性の確保、(3)DVPシステム運営者と参加者の役割分担、の観点から検討を行う必要がある。仮にこうした観点を無視して資金のネッティングの拡大やセントラル・カウンターパーティ間の連携を進めるならば、かえって市場間、参加者間で望ましくないリスクの伝播やコストの転嫁を発生させる惧れがある。
  4. 今後、証券決済においては日中ファイナリティのあるDVPへのニーズが高まると考えられるが、決済機関を含む市場関係者は、決済リスク管理のレベルを維持しつつ、決済システム参加者の負担を軽減できるように、日中ファイナリティのあるDVPの仕組みを改善・工夫することを検討していく必要があろう。