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レポオペとレポレートの関係について

レポレートに含まれる貸借料率に関する分析

2001年 9月10日
加藤壮太郎*1

日本銀行から

日本銀行金融市場局ワーキングペーパーシリーズは、金融市場局スタッフ等による調査・研究成果をとりまとめたもので、金融市場参加者、学界、研究機関などの関連する方々から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融市場局の公式見解を示すものではありません。

なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに対するお問合せは、論文の執筆者までお寄せ下さい。

以下には、(要旨)を掲載しています。全文は、こちら (kwp01j03.pdf 388KB) から入手できます。

  1. *1日本銀行 金融市場局 金融調節課 E-mail: soutarou.katou@boj.or.jp

(要旨)

 本稿では、日本銀行が行なう国債借入オペ(以下レポオペ)が、レポオペや市場でのレポ取引のレート形成に与える影響について、レポレートに含まれる貸借料率に注目した分析を行った。貸借料率には、債券の需給関係が反映される。具体的には、レポレート(=金利−貸借料率)に内包される貸借料率の代理変数として「ユーロ円対比のレポレート」(=レポレート − ユーロ円レート)を被説明変数に用い、(1)レポオペの取引期間(ターム)、(2)レポオペ残高、(3)レポオペ残高の変化、を説明変数とする回帰分析を行うことにより、貸借料率の決定要因について分析した。また、回帰分析の結果を基に、オペレートとマーケットレートの裁定関係や、金融調節上のインプリケーションについても簡単に整理した。予め分析結果を簡単に整理すると以下のとおりである。

  1. (1)ユーロ円対比のレポレートのマイナス幅は、取引のタームが長くなる程大きくなる。これは、貸借料率が、タームが長くなる程大きくなるとの考え方と整合的である。また、取引タームの長さは、貸借料率の大きさを決定する最大の要素である。
  2. (2)レポオペ残高の急速な積上げは、貸借料率の上昇を通じてユーロ円対比のレポレートを押下げる方向に作用する。
  3. (3)高いレポオペ残高は、本来貸借料率の上昇を通じてユーロ円対比のレポレートを押下げると考えられるが、実際には、レポオペ残高が高い時期は資金不足期にあたり、市場での資金調達圧力が強まることが多いため、ユーロ円対比のレポレートはむしろ上昇し易い。
  4. (4)レポオペ残高積上げ局面におけるユーロ円対比のマーケットレートの低下幅は、レポオペ残高圧縮局面の同レートの上昇幅よりも大きい(積上げと圧縮のレートへの影響は非対称)。
  5. (5)レポオペレートとマーケットレートの間では、1か月程度までのタームでは明確に裁定関係が確認されるほか、サンプリングのバイアスを考慮することにより、2・3か月のタームでも両者の裁定関係をほぼ確認できる。