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ポートフォリオ理論に基づいた最適な国債満期構成について*1

2004 年 2月
西岡慎一*2

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、執筆者までお寄せ下さい。
商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行情報サービス局広報課までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

以下には(要旨)を掲載しています。全文は、こちら(wp04j01.pdf 142KB) から入手できます。

  1. *1本稿を作成するにあたり、米澤康博教授(横浜国立大学)及び日本銀行スタッフから数多くの有益な示唆を受けた。記して感謝したい。もちろん、有り得べき誤りは全て筆者に帰するものである。また、本稿に記された意見・見解は筆者個人のものであり、日本銀行及び金融市場局の公式見解を示すものではない。
  2. *2金融市場局 e-mail: shinichi.nishioka@boj.or.jp

(要旨)

本稿は、投資期間が異なる投資家が存在する市場において、望ましい国債満期構成はどのように決定されるか、また、そのときの市場金利がどのように決定されるかについて問題整理を行った。本稿では、(1)国債管理政策の目的は「国債発行コストとリスクが最小となるような発行ポートフォリオの決定」であること、(2)投資期間が異なる投資家が存在すること、に着目してモデルが構築されている。1点目については、通常、民間経済主体の厚生最大化を国債管理政策の目的とすることが多いが、本稿では、実務面における財政当局の問題意識が、発行コストとリスクの最小化である場合が多いことを考慮した。2点目については、投資期間の異なる投資家によって、国債の需要構造が異なることを明確にした。これは、現在のわが国の国債市場では、通常、投資期間が長いと言われる生保・年金の国債保有比率と比較して、満期が長い20年債、30年債といった超長期債の発行比率が低いため、他の投資家に比べて、こうした投資家の超長期債に対する潜在的な需要が大きいとされていることを考慮している。こうした、わが国の国債管理政策を巡る特徴点を踏まえて、本稿では、投資期間が異なる投資家のポートフォリオ問題を扱った米澤・大森[2002]のモデルをベースに、発行コストとリスクを最小化する政府の最適化問題を解くことにより、国債満期構成の含意を導出した。この結果、政府の合理的な行動を前提とすれば、(1)市場に占める長期投資家の運用資産比率が高まった場合、長期債の発行比率は上昇し、長期債の超過収益率は低下する、(2)政府が危険回避的となった場合、長期債の発行比率は上昇し、長期債の超過収益率は上昇する、(3)投資家が危険回避的となった場合、長期債の発行比率は低下し、長期債の超過収益率は上昇する、との結論が得られた。

キーワード:
国債管理政策、ポートフォリオ理論