このページの本文へ移動

名目金利の非負制約下の最適金融政策ルール

— 理論的考察 —*1

2004年 4月
須合智広*2
寺西勇生*3

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。

なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、執筆者までお寄せ下さい。

商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行情報サービス局広報課までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

以下には[要旨]を掲載しています。

  1. *1本稿の作成においては、小田信之、鎌田康一郎、亀田制作、白塚重典、早川英男、藤原一平、門間一夫(日本銀行)、福田慎一(東京大学)、Marc Giannoni(Columbia University)、Pierpaolo Benigno(New York University)、Michael Woodford (Princeton University) の各氏、及び日本銀行調査統計局での勉強会参加者から有益なコメントを頂いた。また、青木浩介(Universitat Pompeu Fabra)、関根敏隆(日本銀行)の各氏からは、貴重なコメントと共に、多大なご指導を頂いた。日本銀行調査統計局渡邊真一郎氏からは技術的支援を受けた。ここに感謝の意を表したい。ただし、本稿における意見等は、すべて筆者の個人的な見解であり、日本銀行および調査統計局の公式見解を示すものではない。
  2. *2調査統計局(現ロチェスター大学)e-mail: sugo@troi.cc.rochester.edu
  3. *3調査統計局 e-mail: yuuki.teranishi@boj.or.jp

(要旨)

本稿では、名目金利の非負制約(ゼロ金利の状態)を考慮に入れた場合の最適金融政策ルール(最適な利子率ルール)を理論的に求めた。その結果、確定的なショックのもとでは、名目金利の非負制約が発生し得る、発生し得ないに関わらず、常に最適金融政策を実現する利子率ルールが存在することが確認された。こうしたルールは、インフレ率、GDPギャップと言った内生変数の過去の状態に依存することを通じて歴史依存性を確保するが、非負制約に直面する可能性がある名目金利の過去の値は参照しないという性質をもつことが分かった。