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デフレ下における非上場企業のデフォルト分析 *1

2004年 9月
(2005年 4月修正)
福田慎一*2
粕谷宗久*3
赤司健太郎*4

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、執筆者までお寄せ下さい。
商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行情報サービス局までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

以下には[要旨]を掲載しています。全文は、こちら(wp04j14.pdf 219KB) から入手できます。

  1. *1 本稿の作成にあたっては、日本銀行調査統計局のスタッフの方々、および第7回統計研究会「金融班」夏期コンファレンス(新潟県六日町)の参加者から有益なコメントをいただいた。特に、早川英男、関根敏隆、岩壺健太郎、櫻川昌哉の各氏からのサジェスチョンは、本稿の改善に大きく役立った。また、才田友美、佐々木明果、中島上智、吉田住枝の各氏にはデータの提供、図表の作成・整理等で協力していただいた。なお、本稿で述べられた意見、見解は、筆者個人のものであり、日本銀行あるいは調査統計局のものではない。
  2. *2東京大学 (E-mail:sfukuda@e.u-tokyo.ac.jp)
  3. *3調査統計局 (E-mail:munehisa.kasuya@boj.or.jp)
  4. *4東京大学

(要旨)

 本稿では、デフレ下で発生した中堅・中小企業の倒産の原因およびそのコストを、非上場企業の財務データやその取引先企業の健全性指標から倒産確率を推計することによって定量的に評価した。各非上場企業の倒産確率をプロビット・モデルから推計した場合、実質債務残高、営業利益、実質利払額、特別損失といった財務変数に加えて、メインバンクの健全性や取引先企業の破綻情報が倒産確率に対して有意な影響を及ぼすことが明らかになった。この結果を用いて、非上場企業の期待デフォルトコストに与える影響を分析してみると、一般物価の影響は売上高比では上場企業のそれを大きく上回ったものの、絶対額でみると依然としてマイルドなものであった。これに対して、メインバンクや取引先企業の体力低下が中堅・中小企業の倒産確率に与える影響は大きく、期待デフレのコストという観点から見た場合、一般物価の下落よりもはるかに大きなインパクトを中堅・中小企業に与えていた。