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新BIS規制案の特徴と金融システムへの影響

(経済セミナー 2004年11月号 No.598 掲載)

2004年10月
宮内 篤*1

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、執筆者までお寄せ下さい。
商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行情報サービス局までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

以下には要旨を掲載しています。全文は、こちら(wp04j16.pdf 375KB) から入手できます。

  1. *1日本銀行信用機構局 e-mail: atsushi.miyauchi@boj.or.jp

(要旨)

 2004年6月にバーゼル銀行監督委員会は、いわゆる新BIS規制案を公表した。本稿では、その基本的な枠組みや信用リスク計量の考え方について概説するとともに、金融システムへの影響を考察している。
 金融業務の多様化・複雑化に対応するため、新BIS規制は内部格付や統合的リスク管理など金融機関のリスク管理実務を活用している。また、規制上の所要自己資本については、システミック・リスクの顕現化を抑止することと、ある程度の確率での倒産を容認してでも金融機関に出来るだけ経営の自由度を許容することとのバランスを取った水準としている。さらに、自己資本比率規制による金融機関の規律付けだけでは限界があるため、市場規律や金融機関の自己規律を相互補完的に活用することとした。これらの柔軟な枠組みは、金融機関に創意工夫の余地を与え、金融システムの活力を引き出していくものと考えられる。
 新BIS規制の導入に伴い金融機関の行動は一段とリスクを意識するようになり、とりわけ、不良債権処理・企業再生への早期の着手が進むことになろう。一部にはこうした影響がプロシクリカリティを増幅するとの見方もある。一方で、リスク管理の高度化が、金融機関行動の安定化を通じて景気変動を平準化すること、企業の参入退出が激化する環境への金融機関の適応を進めること、などを勘案すれば、一概に新BIS規制がプロシクリカルとは言えないとの考え方もある。
 なお、本稿は、『経済セミナー』2004年11月号に掲載した。