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FATS統計

広義のサービス貿易に関する統計整備*1

2005年 4月
山口英果*2

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、執筆者までお寄せ下さい。
商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行情報サービス局までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

以下には[要旨]を掲載しています。全文は、こちら(wp05j05.pdf 117KB) から入手できます。

  1. *1 本稿の作成にあたっては、木村福成教授(慶應義塾大学)から貴重なコメントを頂いたほか、松永哲也氏(日本銀行国際局)、武田英俊氏(IMF)、萩野覚氏(日本銀行国際局)から丁寧なご指導を頂いた。和田麻衣子氏(日本銀行国際局)、大森徹氏(日本銀行調査統計局)、その他日本銀行国際局スタッフからも有益なコメントを頂いた。また、事実関係の確認にあたり、Michael Mann氏(米商務省国際投資部経済分析局)、Maria Borga氏(同)、市川彰氏(経済産業省調査統計部)の助力を得た。この場を借りて深く感謝の意を表したい。もちろん、本稿のありうべき誤りはすべて筆者に属するものである。本稿で示された見解は筆者個人のものであり、日本銀行、国際局のものではない。
  2. *2国際局 e-mail: eika.yamaguchi@boj.or.jp

要旨

 FATS(Foreign Affiliates Trade in Services)統計とは、多国籍企業の海外子会社等の活動全般を表す統計であり、居住者・非居住者概念に基づく国際収支統計を補完するものとして、注目を集めている。これは、多くの企業が、支店・子会社等を設立し他の経済圏にサービスを提供しているが、そうした支店・子会社は"所在国側の"居住者とみなされるため、現地でのサービスの提供が国際収支統計の枠外となるためである。米国は1950年代から、FATS統計と同様のデータ収集を重ねているほか、Eurostatでは、1990年代後半から、共通の調査票を用いてEU圏からFATSデータを収集している。

 わが国については、国際的に比較すると、FATS統計は必ずしも充実していない。FATS統計は、直接投資の効果や外資に対する参入障壁の影響を測るうえで有用な統計であり、その整備に向けて統計作成者にユーザーを加えた協議の場の設立が望まれる。