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価格設定行動とハザード関数

−CPIミクロデータを用いた実証分析−

2006年12月
池田大輔*1
西岡慎一*2

要旨

本稿は、消費者物価指数(CPI)のミクロデータを用いて、異質性を考慮した価格改定に関するハザード関数を推計し、ミクロの価格設定行動を明らかにする。実証分析の結果、第1に、識別されたタイプは複数存在し、強い異質性があることがわかった。識別されたタイプは、(1)毎四半期、価格を改定する伸縮型グループ、(2)増加型ハザード関数を持つグループ、(3)価格改定頻度が低いカルボ型グループ、(4)1年おきに定期的に価格を改定するテイラー型のグループに集約することができる。第2に、各国で報告されている減少型の経験的ハザードは、集計バイアスによるものである可能性が高い。実際、推計された複数のハザード関数から、集計された減少型ハザード関数を再生することができる。第3に、識別された増加型ハザード関数を持つタイプは、推計期間の2000年から2004年末に限定すると、時間依存型モデルで近似可能との結果を得た。

キーワード:
ハザード関数、状態依存型価格設定モデル、時間依存型価格設定モデル、有限混合モデル(Finite Mixture Model

本稿の作成にあたり、日本銀行スタッフほか、一橋大学マクロ金融セミナー参加者の方々から数多くの有益な示唆を受けた。記して感謝したい。もちろん、有り得べき誤りは全て筆者達に帰するものである。また、本稿に記された意見・見解は筆者達個人のものであり、日本銀行及び調査統計局の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行調査統計局 daisuke.ikeda@boj.or.jp
  2. *2日本銀行調査統計局 shinichi.nishioka@boj.or.jp

日本銀行から

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