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企業の流動性資産保有と投資の決定要因について:

上場企業の財務データを用いたパネル分析

2008年2月
堀 敬一*1
安藤浩一*2
齊藤 誠*3

要旨

 本論文は,日本の上場企業の財務諸表から構築したパネルデータを用いながら1980年代から2000年代前半にかけて企業の現預金をはじめとした流動性資産の保有行動や,流動性資産に対する投資行動がどのように変わってきたのかを実証的に検証している。1990年代半ばまでは,製造業,非製造業ともに,銀行借入や社債,あるいは,企業間信用などの資金調達手段は,流動性資産保有と強い代替関係にあった。しかし,1997年度,1998年度の金融危機を含む1990年代後半にはそうした代替関係が弱まった。金融緩和基調となった2000年代前半には,流動性資産保有のメリット自体が低下した。また,1980年代に関する推計結果では,メインバンク制度の役割が明らかにされている。

東京大学金融教育研究センター・日本銀行調査統計局第2回共催コンファレンス(2007年11月27日)における討論者の阿部修人氏には,理論仮説,データ作成,推計手法について多岐にわたって有益で詳細なコメントを頂いた。また,植田和男,藤木裕,宮尾龍蔵,吉田二郎の各氏,Monetary Economics Workshopの参加者からも有益なコメントを頂いた。本研究は,日本銀行調査統計局から財政的な支援を受けている。ここに謝辞を申し上げたい。

  1. *1立命館大学
  2. *2日本政策投資銀行
  3. *3一橋大学

日本銀行から

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