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ビジネスサーベイにおける外れ値対応

— 全国企業短期経済観測調査(短観)のケース —

2010年7月
石川篤史 *1
遠藤峻介 *2
白鳥哲哉 *3

要旨

全国企業短期経済観測調査(短観)では、設備投資額等の計数項目の母集団推計において、外れ値対応を行っていないため、仮に、他のデータセットから著しく乖離したデータ(外れ値)が母集団を代表していない場合、母集団推計値やその前年比・修正率が母数の真値と乖離することになる。本稿では、前年比・修正率に対して影響が大きいデータを短観における外れ値と位置付けた上で、短観に適した外れ値への対応方法を検討した。検討に当たっては、短観の長所である景気変動を的確に捉える正確性・速報性・理解のし易さを維持しつつ、統計の作成負担にも留意した。具体的には、企業の回答値を母集団推計値の前年比・修正率への影響度合いを示す値に変換した上で、ノンパラメトリックな方法により、他のデータから大きく乖離したものを外れ値とみなした。短観のデータセットでは、上記の値が「0」になる比率が総じて高く、既存のノンパラメトリックな方法(quartile method等)がうまく適用できないため、独自の対応方法として、1パーセンタイルと99パーセンタイルの距離を基準に外れ値を検出し、その影響を除外する方法を考案した。本稿の対応方法を短観の実データに適用したところ、影響の大きい外れ値の検出や除去に有用であることが示された。

キーワード
短観、外れ値、層化抽出、ウェイト、stratum jumpers

本稿の作成に当たっては、西郷浩教授(早稲田大学)、椿広計教授(統計数理研究所)の両氏ならびに、一上響氏、亀田制作氏、関根敏隆氏、門間一夫氏をはじめとする日本銀行の各氏から有益なコメントを頂いた。また、本稿で考案した外れ値対応方法は、調査統計局企業統計担当スタッフとの議論に基づいている。ここに記して感謝したい。ただし、本稿に示されている意見は、筆者たち個人に属し、日本銀行の公式見解を示すものではない。また、ありうべき誤りはすべて筆者たち個人に属する。

  1. *1日本銀行調査統計局 E-mail : atsushi.ishikawa@boj.or.jp
  2. *2日本銀行調査統計局 E-mail : shunsuke.endou@boj.or.jp
  3. *3日本銀行調査統計局 E-mail : tetsuya.shiratori@boj.or.jp

日本銀行から

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