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銀行の資産選択と物価変動

2012年3月16日
青木浩介*
須藤直**

要旨

本稿では、1990年代から日本で観察されている銀行の資産選択の変化―公債保有へのシフト―をもたらしたマクロ経済的なメカニズムと含意について、DSGEモデル分析を用いて考察している。当モデルでは、銀行は、保有資産について最大損失が発生した場合においても債務不履行になってはならないという制約(Value at Risk 制約)の下で、自己の収益を最大化するように企業融資と公債の資産選択を行う。この時、マクロ経済の全要素生産性の低下、銀行の自己資本の毀損、銀行の保有資産に対する規制の強化や企業融資の下方リスクの高まりといった経済環境の変化は、銀行のリスクテイキング能力を押し下げることを通じて、銀行の資産構成を企業融資から公債の購入へ傾斜させる。企業融資の減少は財の生産量を押し下げることから、経済にデフレ圧力をもたらす。モデルをベイズ推計した上で定量分析を行った結果、こうした銀行行動が1990年代後半以降のデフレや公債の累積に与えた効果は無視しえないとの結論を得た。

筆者は、前田栄治・関根敏隆・粕谷宗久・鎌田康一郎・木村武・中村康治・西崎健司・齋藤雅士の各氏、経済分析グループ諸氏、マクロモデルグループ諸氏から有益なコメントを頂戴した。また、東京大学金融教育研究センター・日本銀行調査統計局第4回共催コンファレンス「日本の物価変動とその背景:1990年代以降の経験を中心に」での報告にあたっては、指定討論者の竹田陽介、伊藤隆敏、神津多可思、地主敏樹、渡辺努の各氏をはじめ多くの方々からコメントをいただいた。本稿で展開される主張は、筆者に帰するものであり日本銀行の見解を表すものではない。

* 東京大学大学院経済学研究科 E-mail : kaoki@e.u-tokyo.ac.jp
** 日本銀行調査統計局 E-mail : nao.sudou@boj.or.jp

日本銀行から

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