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債券と株式の相関関係を考慮した場合の銀行の株式保有について— ポートフォリオ理論にもとづくアプローチ —

2013年1月24日
菅和聖*1
福田善之*2
杉原慶彦*3

要旨

本稿では、金融資本市場における金利リスクと株式リスクの相関関係を考慮した場合の銀行の株式と債券の最適な資産構成比率を、ポートフォリオ・モデルによって分析している。本分析によると、わが国における資産構成比率の決定には、金利ボラティリティよりも、金利と株価の相関係数と株価ボラティリティが重要な役割を果たすことが明らかになった。また現状では、わが国の多くの金融機関において、株式の保有比率がモデルから試算される水準よりも高いとの結果を得た。株価ボラティリティの増大や金利と株価の相関関係が反転するなど市場に過度のストレスがかかる場合、株式の保有比率は、モデルから得られる水準よりもさらに過大になると評価される。

本稿の作成過程で、Alistair Milne教授(英ラフバラー大学)、日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂戴した。また、本稿の作成にあたっては、三澤里実の協力を得た。この場を借りて、深く感謝の意を表したい。ただし、ありうべき誤りは筆者に属する。本稿の内容と意見は、筆者ら個人に属するものであり、日本銀行および金融機構局の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行金融機構局 E-mail : kazutoshi.kan@boj.or.jp
  2. *2日本銀行国際局(元・金融機構局) E-mail : yoshiyuki.fukuda@boj.or.jp
  3. *3日本銀行総務人事局(元・金融機構局)

日本銀行から

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