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マクロプルーデンス政策が経済に与える影響:金融マクロ計量モデルによるシミュレーション

2013年2月20日
河田皓史*1
倉知善行*2
寺西勇生*3
中村康治*4

要旨

本稿では、代表的なマクロプルーデンス政策手段である、与信成長率規制、LTV規制、DTI規制、可変的な自己資本比率規制が、バブルを伴う金融循環の過程において、経済に与える影響について金融マクロ計量モデルを用いて比較分析した。分析から、マクロプルーデンス政策手段については、経済の振幅を抑制する効果がある一方、平均的な経済成長を抑制する可能性もあること、マクロプルーデンス政策手段間で政策効果が大きく異なること、経済状態に対する認識のラグなどによっても政策効果が大きく変化することが明らかとなった。また、マクロプルーデンス政策手段の導入が、金融システムのリスク耐性を高めることで、安定した金融仲介の実現に寄与し得ることが示唆された。

本稿の作成過程で、ECB、BOE、IMF、FRB、OFRでのセミナー、RIEBワークショップの参加者、日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂戴した。この場を借りて、深く感謝の意を表したい。もちろん、あり得べき誤りは筆者に属する。なお、本論文の内容や意見は、筆者個人に属するものであり、日本銀行および金融機構局の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行金融機構局 E-mail : hiroshi.kawata@boj.or.jp
  2. *2日本銀行金融機構局 E-mail : yoshiyuki.kurachi@boj.or.jp
  3. *3日本銀行金融機構局 E-mail : yuuki.teranishi@boj.or.jp
  4. *4日本銀行金融機構局 E-mail : kouji.nakamura@boj.or.jp

日本銀行から

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