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ストレス状況を勘案した相関構造とリスク合算

2013年3月27日
吉羽要直*1

要旨

金融機関の多くでは、株式と債券を含む有価証券ポートフォリオの市場リスク量を計算する場合に分散効果を勘案している。本邦のように、過去十数年間、金利と株価の変動に正の相関がみられる場合などには、現行実務で用いられている手法を用いたポートフォリオ全体の市場リスク量は、株式・債券それぞれ単体でのリスク量の和と比較した場合に無視できない差が発生し得る。しかし、近年の欧州債務危機で観察されているように、株価が下落するとともに金利が上昇するような状況では、分散効果は限定的になることが考えられる。そこで、本稿では、コピュラの概念を用いて株式・債券単体のリスクとリスクの相関構造を分離して計測する。具体的には、相関構造の裾依存性や正負の相関を勘案できる様々なコピュラを取り上げ、コピュラを推定するデータについても時点や地域を変えながらリスク量を計測する。このように、相関構造に関してストレス状況を勘案し、合算ポートフォリオのリスク量計測に関する特徴や留意点を示す。

  1. *1日本銀行金融機構局 E-mail : toshinao.yoshiba@boj.or.jp

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