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グローバル化と日本の労働市場

―貿易が賃金格差に与える影響を中心に―

2014年3月20日
櫻井宏二郎*

要旨

本稿の目的は、近年の貿易の変化が日本の製造業の労働市場に与えた影響を、熟練、非熟練労働者に対する非中立的な影響に焦点を当てながら、分析することである。主な分析結果は以下のとおり。第1に、製造業計における非生産/生産労働者、大卒/高卒労働者の相対賃金と相対雇用は、1980年代から趨勢的に増加している。この事実は熟練労働者に対する相対需要シフトが生じていることを示唆している。第2に、熟練労働者への需要シフトの要因の1つとして新興国・途上国を含む貿易の拡大に注目し、1995-2005年の輸出入の変化が産業別、職種別の雇用に与えた影響を産業連関表を用いて分析したところ、製造業計では、輸入の増加による雇用の減少率は非生産労働よりも生産労働で多く、輸出の増加による雇用の増加率は生産労働よりも非生産労働で多いことなどがわかった。第3に、ファクター・コンテントの考え方を用いて、1995-2005年の輸出入の変化が、製造業計における非生産/生産労働者、大卒/高卒労働者の相対賃金に与えた影響を分析したところ、非生産/生産労働者の相対賃金を0.023ポイント(1.400→1.422)あるいは変化率ベースで1.6%だけ上昇させた、などの結果を得た。この推計結果は、実際の相対賃金の動きと概ね整合的であり、この期間における輸出入の変化が職種間の賃金格差拡大の要因としてある程度重要な役割を果たした可能性を示唆している。補論では、地域雇用の分析から得られるインプリケーションを述べた。

本稿は、東京大学金融教育研究センター・日本銀行調査統計局第5回共催コンファレンス「グローバル化と日本経済の対応力」(2013年11月28日)での報告論文を加筆・修正したものである。論文のタイトルは、報告論文『グローバル化、技術進歩と労働市場』から変更してある。本稿の作成に際しては本コンファレンスの指定討論者である冨浦英一氏(横浜国立大学)から有益なコメントを頂いた。記して感謝する。ただし、ありうべき誤り等は全て筆者の責任である。

* 専修大学 E-mail : sakurai@isc.senshu-u.ac.jp

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