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インフレ予想と金融政策

2016年1月14日
中園善行*

全文掲載は、英語のみとなっております。

要旨

本稿は、日本のインフレ予想に関するサーベイデータを用いて、インフレ予想が経済主体間でばらつく現象とその背景について分析した上で、インフレ予想のばらつきが金融政策に与える含意を考察し、以下の三点を明らかにした。第一に、インフレ予想の横断面(クロス・セクション)のばらつきは、情報の硬直性によって説明可能であった。第二に、長期のインフレ予想は中央銀行と民間経済主体の間で不一致が生じていた。2013年1月に2%の物価安定の目標が設定されて以降、家計による短中期のインフレ予想は2%に向けて徐々に近づく一方、長期のインフレ予想は2%に収れんしておらず、むしろ予想のばらつきの程度は拡大していた。第三に、経済主体の金融政策に対する見方は、2013年4月に導入された質的・量的金融緩和の前後で劇的には変化していなかった。この結果は、政策レジームの変化の度合いが、日本経済を慢性的なデフレーションから脱却させるほどには大きくなかった可能性を示唆している。

本稿は、2015年11月26日に開かれた、東京大学金融教育研究センター・日本銀行調査統計局第6回共催コンファレンス「物価変動とその中での経済主体の行動変化」で報告された論文を改訂したものである。改訂にあたっては、討論者の堀雅博氏(内閣府経済社会総合研究所)、座長の福田慎一氏(東京大学)他、コンファレンス参加者からの貴重なコメントに感謝したい。また、家計のインフレ予想等に関して調査に協力頂いたインテージ社、及び市場参加者のインフレ見通し等に関する個票データを提供頂いたQUICK社にも感謝したい。本研究は、JSPS科研費(15K17024)の助成を受けている。

* 横浜市立大学国際マネジメント研究科 E-mail : nakazono@yokohama-cu.ac.jp

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