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ミクロデータからみた価格改定頻度の増加はマクロの価格粘着性にどのような影響を及ぼすか―価格改定の一時性に着目した分析―

2016年4月21日
倉知善行※1
平木一浩※2
西岡慎一※3

要旨

わが国や欧米では、マクロレベルの物価の動きが粘着的なわりには、ミクロデータからみた個々の価格は頻繁に改定されている。これは、一種のパズルとして捉えられているが、米国では、特売をはじめとする一時的な価格改定の存在がこの背後にあると考えられている。すなわち、一時的な価格改定は、特売などによる値下げと値戻しが商品間で相殺され、マクロレベルのインフレ率の動きに大きく影響しない。この結果、マクロのインフレ率の動きに影響するのは、そうした動きを除いた「正規価格」の改定のみとなり、これがマクロレベルの粘着的な価格の動きに反映されるというのがこの仮説の骨子である。これに沿って、わが国CPIのミクロデータを用いて分析したところ、この仮説はわが国でも概ね支持されることがわかった。ただし、米国のケースとは異なり、わが国では、「正規価格」の改定頻度が1990年以降、概ね一定である一方、一時的な価格改定頻度が趨勢的に増加しており、マクロのインフレ率への影響も徐々に増している。今後、こうした動きが一段と強まる場合、企業の特売行動がマクロのインフレ率の伸縮性を高める可能性がある。

キーワード
フィリップス曲線、価格改定頻度、Running Modeフィルター

本稿の作成過程で、青木浩介氏(東京大学)、日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂戴した。この場を借りて、深く感謝の意を表したい。もちろん、あり得べき誤りは筆者に属する。なお、本論文の内容や意見は、筆者個人に属するものであり、日本銀行および調査統計局の公式見解を示すものではない。

  1. ※1日本銀行調査統計局 E-mail:yoshiyuki.kurachi@boj.or.jp
  2. ※2日本銀行調査統計局(現・総務人事局) E-mail:kazuhiro.hiraki@boj.or.jp
  3. ※3日本銀行調査統計局 E-mail:shinichi.nishioka@boj.or.jp

日本銀行から

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