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トレンド・インフレ率が低下するもとでのフィリップス曲線と価格変化率分布

2017年5月26日
開発壮平*1
片桐満*2
白木紀行*3

全文掲載は、英語のみとなっております。

要旨

日本の高インフレ期(1982-1994年度)から低インフレ期(1995-2012年度)にかけての企業の価格設定行動をみると、財の価格変更が一貫して頻繁に行われていた一方、サービスの価格変更は相対的にあまり行われていなかったことが観察できる。一方、マクロの需給バランスと物価変動の関係性を表すフィリップス曲線をみると、財・サービスいずれにおいても、その関係性が低下――フラット化――していたようにみえる。一見すると整合的でない、これらの観察結果をどのように解釈するべきであろうか。本稿では、価格変更に一定のコストがかかることを仮定するメニューコスト仮説によって、これらの観察結果を整合的に説明できることを示す。具体的には、サービスのメニューコストが相対的に大きいことを実証的に確認したうえで、メニューコストが異なる2部門から構成される動学的一般均衡モデルを構築した。このモデルにより、サービス部門に高いメニューコストが存在すると、トレンド・インフレ率が低下するもとで、財・サービスいずれのフィリップス曲線もフラット化することが適切に再現できる。この結果は、日本において観察されたような、平均的なインフレ率が低下するもとでのフィリップス曲線と価格設定行動の変化を整合的に説明するうえで、メニューコスト仮説が有用であることを示唆している。

JEL分類番号
E31, E32, E52

キーワード
フィリップス曲線、価格変化率分布、メニューコスト、サービスの価格硬直性、デフレ、トレンド・インフレ率

  1. *1日本銀行調査統計局 E-mail : souhei.kaihatsu@boj.or.jp
  2. *2国際通貨基金 E-mail : MKatagiri@imf.org
  3. *3日本銀行国際局 E-mail : noriyuki.shiraki@boj.or.jp

日本銀行から

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