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ターム・プレミアムはインフレ率や実体経済に影響するのか?為替レートの変動を通じた波及について

2017年6月9日
片桐満*1
高橋耕史*2

全文掲載は、英語のみとなっております。

要旨

ターム・プレミアムの変動がどの程度マクロ経済に影響を及ぼすかという点は、理論的にも実証的にも議論の分かれる問題である。本稿では、ターム・プレミアムが、為替レートの変動を通じて、インフレ率や実体経済に影響を及ぼし得ることを示す。そのため、為替レートについて、長期金利差に基づくカバーなし金利平価(Uncovered Interest Rate Parity: UIP)が成り立ちやすいことに着目し、一部の経済主体による資産市場への限定的参加を仮定した小国開放型経済モデルを構築した。日本と米国のデータを用いて推定したパラメータに基づいて定量的に分析すると、両国のターム・プレミアムの変動は、ドル円の為替レートを通じて日本のインフレ率に大きな影響を及ぼし得ることがわかった。本分析結果は、日本のターム・プレミアムの低下が、為替レートの変動を通じ、日本のインフレ率をある程度押し上げていた可能性を示している一方で、それとほぼ同程度、米国のターム・プレミアムの上昇などの海外要因に影響されてきたことも示唆している。

JEL分類番号
E31, E52, E58

キーワード
為替レート、ターム・プレミアム、カバーなし金利平価

  1. *1日本銀行調査統計局(現・国際通貨基金) E-mail : mkatagiri@imf.org
  2. *2日本銀行調査統計局 E-mail : kouji.takahashi-2@boj.or.jp

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