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家計の資産選択行動 ―動学的パネル分析を用いた資産選択メカニズムの検証―

2017年4月6日
伊藤雄一郎*1
瀧塚寧孝*2
藤原茂章*3

要旨

本稿では、家計の金融行動に関する日米個票データを用いて、家計の資産選択行動を規定するメカニズムを、動学的パネル分析などをもとに考察した。分析の結果、家計の資産選択メカニズムは、日米ともに、古典的な資産選択理論のファクター(リスク資産の期待収益率、安全資産利子率、市場ボラティリティ、相対的リスク回避度)や、流動性制約、予備的貯蓄動機といった家計が抱える様々な制約のほか、金融知識など参入コストを左右する要因が影響を及ぼしていることが分かった。また、わが国家計の慎重な投資行動の背景を探るため、日米家計の資産選択の違いを考察したところ、リスク・リターンの見通しや将来不安の違いで、日米差が相応に説明できるものの、家計の金融知識の違いや、資産選択を巡る日米の制度面の違いなどの構造的要因の影響も大きいことが示唆された。今後、わが国家計の投資環境を整えていく上では、市場のリスク・リターンの関係の改善や将来不安の緩和に加え、家計の資産選択を巡る制度の一層の充実や金融教育の普及を図っていくこともまた重要である。

JEL分類番号:C33、D14、D81、G11

キーワード:
資産選択行動、家計サーベイ、動学的パネル分析、資産選択メカニズム、相対的リスク回避度、金融知識

本研究は、大阪大学21世紀COEプロジェクト「アンケートと実験によるマクロ動学」及びグローバルCOEプロジェクト「人間行動と社会経済のダイナミクス」によって実施された「くらしの好みと満足度についてのアンケート」の結果を利用している。本アンケート調査の作成に寄与された、筒井義郎、大竹文雄、池田新介の各氏に感謝する。本稿の作成に当たり、日本銀行の多くのスタッフから有益なコメントを頂戴した。また、金融広報中央委員会から、「家計の金融行動に関する世論調査」の個票データの提供を受けた。記して感謝したい。もちろん、あり得べき誤りは筆者らに属する。本稿に示される内容や意見は、筆者ら個人に属するものであり、日本銀行および企画局の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行企画局 E-mail : yuuichirou.itou@boj.or.jp
  2. *2日本銀行企画局 E-mail : yasutaka.takizuka@boj.or.jp
  3. *3日本銀行企画局 E-mail : shigeaki.fujiwara@boj.or.jp

日本銀行から

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