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企業のインフレ予想形成に関する新事実:Part I ―粘着情報モデル再考―

2017年4月14日
宇野洋輔*1
永沼早央梨*2
原尚子*3

要旨

本稿では、「短観」の個票データを用いて、企業のインフレ予想形成に関する分析を行う。企業のインフレ予想に関するデータは世界的にも限られるため、本稿は、現時点では、もっとも包括的な企業のインフレ予想に関する分析となる。事実整理の結果、次の四点を指摘できる。第一に、企業のインフレ予想には下方硬直性がある。第二に、企業のインフレ予想は業種間より企業規模間での差異が大きい。第三に、企業のインフレ予想の期間構造をみると、3年後以降はほぼ不変である。第四に、企業のインフレ予想は、年限が長いほど予想改定頻度が高い。そして、本データを用いた実証分析では、企業のインフレ予想形成にはMankiw and Reis(2002)のシンプルな粘着情報モデルと整合的な面があることを示す。特に、本稿が初めて報告する企業のインフレ予想の改定頻度は、先行研究が報告してきたエコノミストや家計の予想改定頻度に比べてずっと低く、Mankiw et al.(2004)が想定していた値にかなり近い。

JELコード:E31、E37、E52、E58

キーワード:インフレ予想、予想改定頻度、粘着情報モデル、金融政策

本稿の作成にあたっては、久野遼平氏(東京大学)、青木浩介氏(東京大学)、堀雅博氏(内閣府)、桑原茂裕氏(以下、日本銀行)、関根敏隆氏、中村康治氏、一上響氏、開発壮平氏、伊藤智氏、稲村晃希氏、武藤一郎氏、吉羽要直氏、黒住卓司氏、加藤涼氏から有益なコメントを頂いた。ここに記して感謝したい。ただし、ありうべき誤りはすべて筆者たちの責任である。また、本稿に示されている意見は、筆者たち個人に属し、日本銀行の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行調査統計局 E-mail: yousuke.uno@boj.or.jp
  2. *2日本銀行調査統計局 E-mail: saori.naganuma@boj.or.jp
  3. *3日本銀行調査統計局 E-mail: naoko.hara@boj.or.jp

日本銀行から

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