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外国為替およびデリバティブに関する中央銀行サーベイ(2004年6月末残高調査)について:デリバティブに関する日本分集計結果

2004年12月 6日
日本銀行金融市場局

日本銀行から

 以下には、調査結果の主要点および概要を掲載しています。データを含む全文は、こちら(deri0406.pdf 72KB)から入手できます。

  • 日本銀行では、このほど、わが国における店頭(OTC)デリバティブ市場の残高(2004年6月末時点)に関する調査を実施した。

 本調査は、各国中央銀行等が、国際決済銀行(BIS)のまとめの下で、3年毎に実施しているもの(後掲(参考)参照)。

調査結果の主要点

1.想定元本ベースの取引残高

  •  わが国の2004年6月末のOTCデリバティブ取引残高について想定元本ベースでみると、17.7兆米ドル(前回<2001年6月末>比+26.9%)となった。リスク・ファクター別にみると、外為関連取引は、2.5兆米ドルと同+11.4%増加している。金利関連取引は、15.1兆米ドルと同+29.2%の増加。また、取引残高は小さいが、エクイティ関連取引は370億米ドル(同+53.4%)、コモディティ関連取引は138億米ドル(同+344.6%)、クレジット・デリバティブは784億米ドル(同+197.9%)となった。
  • 図表:わが国におけるOTCデリバティブ取引の残高

2.通貨別内訳の動向

  •  わが国ディーラーによるOTCデリバティブ取引の通貨別内訳について、想定元本ベースでみると、金利関連では米ドルと円で84.6%(前回84.5%、円は今回66.0%、前回65.0%)のシェアとなっている。また、外為関連取引では米ドルと円で88.9%(同89.1%、円は今回43.7%、前回41.3%)のシェアをそれぞれ有しており、円と米ドルが中心的な通貨・金利となっている。
  • OTCデリバティブ取引の通貨別内訳グラフ。詳細は本文のとおり。

3.取引相手先別の動向

  •  OTCデリバティブ取引を取引相手先別内訳についてみると、引続き金利関連取引では残高の約8割が、また、外為関連取引では同7割程度が、それぞれ主要ディーラー(注)がサーベイ報告先との間で行っている取引となっている。
  • OTCデリバティブ取引の取引相手先別内訳グラフ。詳細は本文のとおり。
  • (注) 吉国委統計に参加している主要邦銀(現在13行)。

4.残存期間別の動向

  •  OTC取引残高を期間別内訳についてみると、金利関連では、1年超5年以内の取引のウェイトが前回の48.7%から今回54.2%にまで上昇している。一方、外為関連では引続き1年以内の取引が最も多く74.2%を占めているが、前回に比べて、そのシェアは低下している。
  • OTC取引残高の期間別内訳グラフ。詳細は本文のとおり。
(参考)外国為替およびデリバティブに関する中央銀行サーベイ
(2004年6月末残高調査)の概要(注1)

 本調査は、各国中央銀行等が、BISの取りまとめの下で、3年毎に自国・地域のデリバティブ市場の残高について同時に実施しているものである(注2)同サーベイの取引高調査(2004年4月中)部分は、既に本年9月29日に公表されている。

 BISでは、デリバティブ市場残高については、6ヶ月毎に定例市場調査(吉国委統計)(注3)をG10諸国の主要ディーラーを対象に実施しているが、サーベイでは対象国を拡大している(今次サーベイでは44の国・地域)ほか、より幅広い金融機関が参加している。今回のわが国の調査では、吉国委統計に参加している主要ディーラー13行を含む、銀行等52行庫、証券会社4社からの回答を得た。残高調査は連結ベース(注4)の調査であり、日本での調査対象は本拠地を日本に置く本邦金融機関になる。

 本調査を取りまとめているBISは、参加各国・地域の調査結果を集計し、グローバル・ベースでの残高統計の集計結果を本日公表した(原文はBISのホームページ<http://www.bis.org/(外部サイトへのリンク)>より入手可能)。

 なお、BISは、調査時点を同じくする吉国委統計(グローバル分)の集計結果もあわせて公表している。吉国委統計の2004年6月末時点の日本分調査結果は、8月25日に公表されている。

 外国為替およびデリバティブに関する中央銀行サーベイの残高調査および吉国委統計は、取引をリスク・ファクター別に(1)外国為替(および金<ゴールド>)、(2)金利、(3)エクイティ、(4)コモディティ、(5)クレジット・デリバティブと大きく分類し、それぞれのフォワード、スワップ、オプション等別の想定元本(注5)について、通貨別、取引相手別に集計している(注6)。また、正と負の市場価値も集計している。なお、外国為替および金関連、金利関連、エクイティ関連取引については、1年以内、1年超5年以内、5年超の期間別調査も実施している。

  • (注1)サーベイに関する解説や過去の公表文については、本ホームページ参照。
  • (注2)デリバティブ部分は、95年3月末から調査開始。
  • (注3)吉国委統計の詳細は、本ホームページの解説参照。
  • (注4)連結ベースとは、複数の取引地に所在する子会社や関連会社の取引を含むベース。
  • (注5)<外国為替および金関連取引>
    ・フォワード・為替スワップ、通貨スワップ、通貨オプション
    <金利関連取引>
    ・FRA(金利先渡し取引)、金利スワップ、金利オプション
    <エクイティ関連、コモディティ関連、その他デリバティブ>
    ・フォワードおよびスワップ、オプション
    <クレジット・デリバティブ>
    ・フォワードおよびスワップ、オプション
  • (注6)コモディティ、クレジット・デリバティブ、その他デリバティブについての通貨別内訳はない。また、吉国委統計については、日本分は独自の調査項目を設けクレジット・デリバティブ調査を実施(8月25日公表の調査結果参照)している。グローバル・ベースでは、2004年12月末時点から、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)についての調査が実施される予定。