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「旧国際収支統計」の解説

2001年1月
日本銀行国際局

作成部署、作成周期、公表時期等

作成部署
財務省、日本銀行国際局国際収支課
公表方法
インターネット・ホームページ
…本統計は財務省と共同で公表しているもので、資料は財務省ホームページの統計資料コーナーに掲載されています。また国際収支状況<速報・確報>のうち主な時系列データは、本ホームページのダウンロードコーナーに掲載しています。
刊行物等
「国際収支統計月報」(月刊)

日本銀行から

本解説は、統計を利用している方々やこれから統計を利用しようと考えている方々を対象に、IMFで公表している計上方法をもとに、基本的な事項を中心にわかりやすく解説したものです。

1.国際収支統計とは

国際収支統計は、一定期間における一国のあらゆる対外経済取引を体系的に記録した統計です。
取引は居住者と非居住者との間で行われたもので、(1)財貨・サービス・所得の取引、(2)対外資産・負債の増減に関する取引、(3)移転取引に分類できます。取引そのものは、経済価値の創出・交換・移転または消滅を反映するものであり、財貨・金融資産の所有権の移転、サービスの提供、または労働及び資本の提供を伴うフローとして定義されています。

2.国際収支統計の計上方法

計上原則

わが国の国際収支統計で使用されている計上原則は、国際通貨基金(IMF)による「国際収支マニュアル第5版」に基づいています。IMFは、IMF協定第8条第5項に基づいて、加盟国に対し国際収支統計に関する情報の提供を求めています。この国際収支統計作成の際の国際的な標準ルールを示すとともに、IMFへの報告のための様式のガイドラインを提示したものが、「国際収支マニュアル」です。
主要な原則について、解説すると次のとおりです。

居住性

居住性の概念については、国籍や法的な判断基準ではなく、取引当事者の経済利益の中心を基礎としています。
この点、わが国の国際収支統計における居住者、非居住者の具体的な定義については、「外国為替及び外国貿易法」(以下「外為法」と略称)に、「本邦内に住所または居所を有する自然人及び本邦内に主たる事務所を有する法人をいう。非居住者の本邦内の支店、出張所その他の事務所は、法律上代理権があると否とにかかわらず、その主たる事務所が外国にある場合にも居住者とみなす」と定められています。居住性の判定基準については、別途財務省の通達(「外国為替法令の解釈及び運用について」)により、規定されており、わが国の国際収支は、主として外為法に基づく諸報告をデータソースとして作成されていることから、結果的にこれがわが国の国際収支統計における居住性の定義となっています。

複式計上

国際収支統計は、複式簿記の原理に基づいて貸方および借方に別々に同額計上されます。原則として、貸方の項目の合計と借方の項目の合計が一致します。
輸出および対外金融資産の減少(または対外金融負債の増加)は貸方に計上され、輸入および対外金融資産の増加(または対外金融負債の減少)は借方に計上されます。言い換えれば、資産(実物資産であれ金融資産であれ)については、保有高の減少は貸方に計上され、保有高の増加は借方に計上されます。一方、負債の増加は貸方に計上され、負債の減少は借方に計上されます。

評価

原則として取引価格で評価されています。

計上時期

取引を計上する時期は原則としてその取引が発生した時点です。

換算方法

国内諸統計との比較の利便に配慮して、外貨建ての取引は、原則として市場実勢レートで円に換算されています。
この際使用される為替換算レートは大きく2つの場合に分別されます。

(1)報告者が外貨建ての取引を円建てで報告する場合

報告者が外貨建ての取引を円建てで報告する場合に使用する換算レートについては、「外国為替の取引等の報告に関する省令」(以下「報告省令」と略称)第35条に定められており、基本的には「当該報告に係る取引、行為若しくは支払等が行われた日又はその日の属する月の末日における実勢外国為替相場を用いて換算する方法」と「財務大臣が定めるところに従い、日本銀行が公示する相場(省令レート)を用いて換算する方法」があります。後者については毎月20日頃に翌月の報告に適用する省令レートを日本銀行に掲示しています(本ホームページにも掲載されます)。

(2)日本銀行が円建てに換算する場合

日本銀行が円建てに換算する場合に使用される換算レートについては、対象となる月の市場実勢レートが用いられます(これは、2か月後の報告省令レートとなります)。

国際収支の分類

わが国の国際収支の構成項目はIMF国際収支マニュアル第5版に基づいています。すなわち、IMFの「標準構成項目」をベースにしつつ、分析研究の利便に配慮して主要項目について収支尻を設けるほか、より詳細な内訳項目に分類し直して公表しています(これを「分析的発表形式」といいます)。わが国の国際収支構成項目については以下の表を参照願います。

国際収支表:わが国の国際収支構成項目

貸方 借方

項目別計上方法

わが国の国際収支統計を構成している内訳項目の計上方法について、解説すると次のとおりです。

1 経常収支

1.A 貿易収支

貿易収支は「財貨」の国際間取引(輸出入)をFOB(Free On Board)価格で計上する項目です。一般商品、加工用財貨、財貨の修理、輸送手段の港湾調達財貨、および非貨幣用金を含んでいます。ただし、金投資・貯蓄口座に関する非貨幣用金の取引は除かれています(資本収支の中に含まれます)。

統計作成の基礎データとなるのは、貿易統計(通称「通関統計」)です。貿易統計は、財務省により税関の書類によって作成されています。

「貿易(通関)統計」は、輸出はFOB(Free On Board)建てながら、輸入はCIF(Cost, Insurance and Freight)建てとなっています。このため、輸入については、まず、運賃、保険料の諸コストを控除してFOB建てに修正します。

また、計上範囲、計上時期の調整を加えた上で貿易収支に計上しています。主な調整方法は次のとおりです。

(1)計上範囲の調整

貿易統計は、関税境界通貨のものを計上しています。このため、通関と所有権移転が一致しない財貨について加減算を行なって計上範囲を調整する必要があります。現在、計上範囲の調整対象となっている項目は次のとおりです。

  • 輸入額に加算される項目
    <例> 海外で打ち上げられた通信衛星
  • 輸入額から控除される項目
    <例> 輸出入のうちキャンセルとなった貨物 等

(2)計上時期の調整

通関と所有権移転のタイミングにずれがある場合には、計上時期を調整する必要があります。このような事例として、航空機の輸入等があります。

1.A.1 一般商品

一般商品は、居住者・非居住者間で対価を伴う所有権が移転する動産取引を計上する項目です。加工用財貨、財貨の修理、港湾調達財貨、非貨幣用金に属さない全ての動産取引を計上します。

統計作成の基礎データとなるのは、貿易統計および企業・個人から提出される支払等報告書等です。

支払等報告書は、非居住者との間の、銀行送金、相殺、および海外預金を通じた支払等について、「国際収支項目番号」等を記載して居住者によって提出されます。報告されたデータは国際収支項目番号別に集計され関連の国際収支項目に分類されます。

1.A.2 加工用財貨

加工用財貨は、加工のために輸出(輸入)された加工原材料および加工後に再輸入(再輸出)された製品をグロスベースで計上する項目です。これらの財貨については所有権の移転が行われていないので、所有権移転原則の例外となっています。統計作成の基礎データとなるのは、貿易統計です。

1.A.3 財貨の修理

財貨の修理は、居住者(非居住者)が所有する船、航空機などの動産の修理費を計上する項目です。計上額は修理価額であって、財貨のグロス価額ではありません。統計作成の基礎データとなるのは、支払等報告書です。

1.A.4 港湾調達財貨

港湾調達財貨は非居住者(居住者)所有の輸送手段(船舶、航空機)が本邦(海外)で調達した燃料、食糧等の財貨の取引を計上する項目です。基礎データとなるのは、支払等報告書、船会社および航空会社(外国の船会社および航空会社の本邦内支店・代理店を含みます)から提出される報告書です。

1.A.5 非貨幣用金

非貨幣用金は、通貨当局が準備資産として保有する金(貨幣用金)および金投資・貯蓄口座に関する投資用金以外のすべての金が計上されます。

1.B サービス収支
1.B.1 輸送

輸送には、居住者(非居住者)が非居住者(居住者)のために行なった、旅客の運搬、財貨の移動、乗員を含む輸送手段のチャーターなど全ての輸送に関する取引を計上します。関連する取引項目のなかで、輸送から控除されるのは、貨物保険(保険サービスに含まれます)、輸送手段(船舶、航空機)が外国の港湾・空港等において調達した財貨および輸送設備の修理(財貨に含まれます)、港湾・空港施設等の修理(建設サービスに含まれます)、乗員を含まない輸送手段のチャーター(いわゆるオペレーショナルリース、その他営利業務サービスに含まれます)です。

統計作成のための基礎データとなるのは、支払等報告書、船会社および航空会社から提出される報告書です。輸送の公表項目は輸送手段(海上輸送、航空輸送、その他輸送)およびサービスの内容(旅客、貨物、その他)に基づいて区分されます。

1.B.2 旅行

旅行は、サービス収支の他の項目とは次のとおり性格が異なります。

旅行者は旅先で当該国の居住者から財貨を取得したりサービスの提供を受けます。このため、旅行は特定の形のサービスでなく、旅行者によって消費される財貨・サービスの集まりであると定義されます。旅行収支には主として居住者(非居住者)が当該国を訪問中に支払った財貨、サービスの対価を計上します。具体的には、(1)宿泊費、食事代、娯楽費、現地交通費、(2)土産品、(3)出張費、(4)海外での医療費、(5)ツアー代金、等と思っていただければよいでしょう。ただし、渡航時の旅客運賃は旅行収支ではなく、輸送収支に含まれます。

わが国の国際収支統計における旅行者の定義は国際収支マニュアル第5版に基づいています。すなわち、原則として自分が居住者でない経済圏に1年未満滞在する個人を旅行者として分類しています。ただし、大使館等政府の在外機関(軍事基地を含みます)に勤務する者とその家族、留学生および医療患者は除かれます。

統計作成のための基礎データとなるのは、支払等報告書、銀行等から提出される外国通貨又は旅行小切手の売買に関する報告書、本邦通貨の輸入実績に関する報告書です。旅行はその目的に従って「業務」および「業務外」に区分されます。旅行の業務/業務外の区分は法務統計月報の出入国管理関係の区分によっています。

旅行収支は、銀行等の外貨買取り/売却額にクレジットカードの利用額等を加算した上で計上しています。具体的な計上手順は次のとおりです。

  • ・受取額 (1)外国人旅行者のわが国での消費額(銀行等の外国人旅行者からの外貨買取り額等から推計します)に、(2)クレジットカードによる国内消費額、(3)海外からわが国に送金されたツアー代金の受取額、等が足し合わされ、受取額として記録されます。
  • ・支払額 (1)日本人旅行者の海外での消費額(銀行等の日本人旅行者への外貨売却額等から推計します)に、(2)クレジットカードによる海外消費額、(3)わが国の旅行代理店から海外に送金したツアー代金の支払額、等が足し合わされ、支払額として記録されます。
1.B.3 その他サービス

その他サービスには輸送、旅行に属さない全ての居住者・非居住者間のサービス取引を計上します。通信、建設、保険、金融、情報、特許等使用料、その他営利業務、文化・興行および公的その他サービスを含んでいます。

  • 1.B.3.1 通信サービスは居住者・非居住者間の通信に関する費用の受取・支払を計上します。統計作成のための基礎データとなるのは、支払等報告書です。
  • 1.B.3.2 建設サービスは、本邦企業が外国において、または外国企業が本邦において、請け負った建設・据え付け工事に関する費用を計上します。統計作成のための基礎データとなるのは、支払等報告書です。
  • 1.B.3.3 保険サービスは本邦保険業者が非居住者に提供する、およびその逆の、様々な形態の保険の保険料から保険金を差引いた額を保険サービスの対価とみなして計上します。代理店手数料も含まれます。統計作成のための基礎データとなるのは、支払等報告書、損害保険会社から提出される報告書です。
  • 1.B.3.4 金融サービスは、居住者・非居住者間の金融仲介およびその付随的なサービスを計上します。ただし、保険業者に関するものは除かれます。統計作成のための基礎データとなるのは、支払等報告書、金融機関から提出される外国為替業務に関する報告、デリバティブ取引および証券の発行に関する報告です。
  • 1.B.3.5 情報サービスは、居住者・非居住者間のコンピューター・データサービスおよび報道機関などによるニュース・サービスに関連する費用の受取・支払を計上します。統計作成のための基礎データとなるのは、支払等報告書です。
  • 1.B.3.6 特許等使用料は、居住者・非居住者間の特許権、商標等の工業所有権、鉱業権、著作権などに関する権利の使用料の受取・支払を計上します。統計作成のための基礎データとなるのは、支払等報告書です。
  • 1.B.3.7 その他営利業務サービスは、居住者・非居住者間の上記以外の様々なサービス取引に係る費用の受取・支払を計上します。金ディーリングなど、日本の税関を越えずに極めて短期のうちに売買される財貨および非貨幣用金もその売買の差額をサービス料とみなして本項目に分類されます。統計作成のための基礎データとなるのは、支払等報告書です。
  • 1.B.3.8 文化・興行サービスは、居住者・非居住者間の音響・映像サービスの制作費、賃貸料等の受取・支払を計上します。統計作成のための基礎データとなるのは、支払等報告書です。
  • 1.B.3.9 公的その他サービスは、上記のいずれにも含まれない政府のサービスの取引を計上します。統計作成のための基礎データとなるのは、支払等報告書、政府機関からの情報です。
1.C. 所得収支

所得収支には、居住者・非居住者間の「雇用者報酬」、「投資収益」の受取・支払を計上します。

1.C.1 雇用者報酬

雇用者報酬は、非居住者労働者に対する報酬の支払と、居住者労働者が外国で稼得した報酬の受取を計上する項目です(季節労働者、短期労働者等に限ります)。日本国籍(外国籍)の船舶・航空機で働いている外国人(日本人)乗務員等の給与の受払が含まれます。統計作成のための基礎データとなるのは支払等報告書、船会社および航空会社から提出される報告書です。

1.C.2 投資収益

投資収益には、居住者・非居住者間における対外金融資産・負債に係る利子・配当金等の受取・支払を計上します。ただし、対外金融資産・負債について実現したキャピタル・ゲインあるいはロスは除かれています(資本収支の中に含まれます)。投資収益は、投資の内容に従って、直接投資収益、証券投資収益およびその他投資収益に区分されます。

1.C.2.1 直接投資収益

直接投資家が直接投資資本を所有することから生じる所得、すなわち、利子、配当金等を計上します。1996年1月分の統計から再投資収益(直接投資先企業の収益のうち正式には配分されていない直接投資家の持分)も本項目に計上されています。統計作成のための基礎データとなるのは、支払等報告書、居住者企業から提出される内部留保残高に関する年次報告です。再投資収益の推計方法についてはボックス1を参照願います。

ボックス 1 再投資収益の推計方法

再投資収益は企業から提出される内部留保残高に関する年次報告を基に推計されます。月次計数は以下の要領で作成されます。

  1. 再投資収益残高の対前年差が計算され、それが直近の再投資収益とみなされます。
  2. 年次計数が当該年の12か月に均等に配分されます。
  3. 全ての報告についてこの方法で作成された月次計数が足し合わされ、直近月の再投資収益として記録されます。
1.C.2.2 証券投資収益

直接投資先以外からの配当金、国債等の中長期債の利子および金融市場商品・金融派生商品に係る利子の受取・支払を計上します。割引債の保有から生じる利子も本項目に計上されています。証券投資収益は、金利スワップ、通貨スワップ(利払いに関して)等に関する受払も含んでいます(ただし、デリバティブ取引についてはIMF国際収支マニュアルが改訂されており、わが国でもそれを受けて見直すことを検討しています)。統計作成のための基礎データとなるのは、支払等報告書、金融機関から提出される外国為替業務に関する事項の報告、デリバティブ取引に関する報告です。

割引債の保有期間中には、実際の資金変動が発生しないことから、当然資金の受払に関する報告はありません。このため、企業から年次で提出される年次報告のベースで推計されます。割引債の推計方法についてはボックス2を参照願います。

ボックス 2 割引債利子の推計方法

  1. 割引債の保有残高(額面金額)に報告書に記載されている利回り(年率)を乗じて利子所得相当額を算出します。
  2. 年次計数が翌年の12か月に均等に配分されます。
  3. この方法で算出された月次計数を翌年の12か月にわたり割引債利子として記録します。
1.C.2.3 その他投資収益

その他投資収益には非居住者に対する居住者の直接投資収益および証券投資収益以外の全ての債権・債務に係る利子の受取・支払を計上します。具体的には、貸付金や預金の利息、等と思っていただければよいでしょう。統計作成のための基礎データとなるのは支払等報告書および金融機関から提出される外国為替業務に関する報告です。

1.D 経常移転収支

移転収支とは、実物資産(財貨・サービス)あるいは金融資産などの無償取引(経済的価値の一方的な受払)を、国際収支表に複式計上方式で記録するための見合い項目です。相手国の経常支出となる経常移転と資本形成に貢献する資本移転に区分されます。前者が経常収支に後者が資本収支に含まれます。経常移転には、資本移転以外の全ての移転を計上します。個人または政府間の無償資金援助、国際機関への拠出金、出向社員の給与の受払、生命保険以外の保険金の受払を含んでいます。

統計作成のための基礎データとなるのは、政府機関からの情報と支払等報告書、損害保険会社から提出される報告です。居住者が公的部門であるかどうかによって「公的部門」および「その他」に区分されます。

2 資本収支

資本収支は居住者と非居住者との間で行われた資産または負債の受払を計上する項目です。「投資収支」および「その他資本収支」から構成されます。

2.A 投資収支

投資収支は居住者と非居住者との間で行われた金融資産負債の取引を計上する項目です。直接投資、証券投資、その他投資を含んでいます。

他方、その他資本収支は居住者と非居住者との間で行われた固定資産の取引および非生産非金融資産の取引を計上する項目です。資本移転とその他資産を含んでいます。評価増減は除かれています(対外資産負債残高統計の中に反映されます)。

投資収支のうち、証券投資とその他投資は、居住者の部門別に統計を作成しています。日本では、通貨当局と一般政府は、公的部門として公表されています。

2.A.1 直接投資

直接投資は直接投資家・直接投資企業間の全ての取引(投資)を計上します。株式取得、再投資収益、資金貸借が含まれます。直接投資家とは、当該企業が居住者となっている経済領域外の企業に永続的な経済利益を有する企業です。具体的には、出資の割合が原則として10%以上の場合を直接投資関係にあるとしています。

なお、居住者(非居住者)による海外(国内)不動産の取得処分についても、当項目に計上します。

統計作成のための基礎データとなるのは、支払等報告書、居住者企業から提出される内部留保残高に関する年次報告です。1996年1月から再投資収益が計上されています。

2.A.2 証券投資

証券投資は株式やその他の負債性証券(「直接投資」、「外貨準備増減」に含まれるものを除く)を計上する項目です。中長期債、短期債、金融派生商品(オプション<プレミアムのみ>、ワラント等)を含んでいます。ただし、金利スワップは除かれています(現行統計では経常収支の利子所得に含まれます)。非居住者による邦銀発行CDの取得は、その他投資(現預金)に含まれます。一方、居住者による海外発行CD(外為法上証券とみなされます)の取得は、証券投資に含まれます。

統計作成のための基礎データとなるのは、証券会社、銀行、主要な機関投資家および政府機関から提出される証券取引に関する報告書、証券の発行・償還およびデリバティブ取引に関する報告です。

2.A.3 その他投資

その他投資には直接投資、証券投資および外貨準備資産に該当しない全ての資本取引を計上します。貿易信用、貸付・借入、現預金、雑投資を含んでいます。証券貸借取引の対応項目も貸付に計上します。

また、金投資・貯蓄口座に関する非貨幣用金の取引を含んでいます(経常収支の中の財の取引ではありません)。こうした取引は、日本の税関からの物理的移動を伴わず固定的に金利を生じさせるため、金融取引とみなされます。

統計作成のための基礎データとなるのは、本邦にある輸出(輸入)業者から四半期毎に提出される貿易信用調査表、貸付けの実行等の状況に関する報告書、銀行等の資産負債状況報告書、海外預金の残高等に関する報告書、支払等報告書です。貿易信用調査表は、四半期毎の報告であるため、これを各月毎に按分する必要があります(輸出入金額の四半期比率により比例配分します)。

2.B その他資本収支
2.B.1 資本移転

資本移転は、固定資産の取得または処分にかかる資金の移転、固定資産の所有権の移転、債権者による債務免除を計上する項目です。統計作成のための基礎データとなるのは政府機関からの情報と支払等報告書です。債務免除については居住企業から提出される報告書です。居住者が公的部門であるかどうかによって「公的部門」および「その他」に区分されます。

2.B.2 その他資産

その他資産は、非生産非金融資産を計上する項目です。特許権、著作権、商標権、譲渡可能な契約、大使館あるいは国際機関による土地の取得・処分を含んでいます。

3 外貨準備増減

外貨準備増減は通貨当局の管理下にあるすぐに利用可能な対外資産の増減を計上する項目です。貨幣用金、SDR、IMFリザーブポジションが含まれます。統計作成のための基礎データとなるのは、財務省が作成する外貨準備高に関する資料です。

3.その他

季節調整

経常収支項目は1985年以降の計数について米国センサス局法Xー12-ARIMAで季節調整がなされています。データ系列には対数変換を実施しています。季節調整に用いるデータは1985年1月から直近の12月までとし、その後の1年間は季節要素の予測値を用いて季節調整値を作成しています。

地域別

国際収支統計のデータは国・地域別に集計され、主要30か国・地域について半年ごとに公表されます。貿易収支の地域別ブレークダウンは財務省の貿易統計により作成されます。原則として、輸出は最終仕向け地ベース、輸入は原産地ベースで分類されます。その他の経常収支項目については、取引は原則として取引相手ベースで分類されます。

資本収支については、地域別ブレークダウンは基本的には「債務者・債権者原則」に基づいています(ただし、証券投資の負債サイドは取引者原則で区分しています)。

対外資産負債残高統計

国際収支に密接に関連するものに、対外資産負債残高統計があります。対外資産負債残高統計は、ある一定時点における金融資産等の残高を記録した統計です。一定期間における残高の変動は取引(フロー)、為替相場や市場価格の変動による評価増減いずれによっても生じます。これに対し、国際収支は取引のみを映じたものです。わが国の場合は、毎年末の時点における残高統計を翌年5月末までに公表しています。