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「貸出・預金動向」の解説

English

2023年1月
日本銀行金融機構局

作成部署、作成周期、公表時期等

作成部署
金融機構局金融データ課預貸金統計グループ
作成周期
月次
公表時期
翌月上旬
公表方法
インターネット・ホームページ

1.概説

日本銀行金融機構局では、銀行の預金や貸出等の集計値の把握を目的として、「貸出・預金動向」(2013年3月計数までは「貸出・資金吸収動向等」)を作成しており、1991年7月から翌月上旬に前月の速報値を公表しています(2004年5月までは金融市場局が作成)。

なお、本統計は速報性が高いため、公表後にデータが改訂されることがあります。データを毎月記録される方は、直近月の数値だけでなく、時系列統計データ検索サイトをご利用いただき、過去の数値も遡って記録されることをお薦めします。

2.データの定義

「貸出・預金動向」は、(1)貸出動向、(2)預金動向から構成されています。ここでは、各構成項目の定義、集計対象等をご説明します。

(1)貸出動向(平残)

貸出とは、金融機関が取引先の事業その他の用に供する資金を融通することをいいます。本統計では、国内の経済活動に資する貸出(金融機関向け及び中央政府向けを除く民間非金融部門向け貸出)を集計することを目的として、都市銀行等(みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、埼玉りそな銀行、SBI新生銀行、あおぞら銀行)、地方銀行・第二地方銀行および信用金庫を対象に、居住者(国内において経済活動を行う主体)への貸出を集計しています。

このほか、インターネット専業銀行などのその他国内対象銀行(預金動向とは異なる定義)に加え、外国銀行についても、貸出を集計し公表しています。

なお、集計は平残(「平均残高」の略)ベースで行っています。平残とは、月末時点での残高を「末残」と呼ぶのに対して、1か月間の日々の残高の合計をその期間中の日数で除した残高をいい、期末要因等による残高の変動を均す効果があります。

(2)預金動向(実質預金+CD)(平残)

実質預金とは、表面預金から未決済の手形・小切手を引いたものをいいます。また、CDとは譲渡性預金の略で、第三者に譲渡可能な自由金利預金のことをいいます。

ここで表面預金とは、金融機関の勘定上の預金、すなわち預金者が持込んだ現金や他店払手形・小切手を含む預金全体を指しますが、未決済の他店払手形・小切手は、手形交換を経て資金化するまでは、実際に利用することができません。このため、本統計では、表面預金からこれらを引くことで、資金運用可能という意味での「実質預金」を、都市銀行(埼玉りそな銀行を含む)、地方銀行、第二地方銀行、その他国内対象銀行(貸出動向とは異なる定義)および信用金庫を対象に平残ベースで集計しています。

3.類似データについて

本統計に類似したデータには、全国銀行協会が公表する「全国銀行預貸金速報」や、本行調査統計局が公表する「預金・現金・貸出金」などがあります。利用される場合には、集計対象先や定義、末残・平残の別などにご留意ください。なお、日本銀行が作成・公表している各種預金・貸出統計の定義等の違いについては、「日本銀行作成統計における預金・貸出詳細比較表 [PDF 273KB] 」をご覧ください。

<参考1>特殊要因調整後計数について(時系列統計データ検索サイトのみ公表)

日本銀行ホームページの時系列統計データ検索サイトでは、「貸出・預金動向」のデータと併せて、貸出残高(平残)の「特殊要因調整後計数」も掲載しています。「特殊要因調整後計数」とは、以下の5つの要因項目の直近1年間の変化を調整した推計の貸出残高です。対前年比は下記のとおり計算されます。これらにはある程度の仮定が入っているので、幅をもってみる必要があります。

調整後残高(億円)
=調整前貸出残高+(1)為替変動要因+(2)貸出債権償却要因+(3)貸出債権流動化要因+(4)旧国鉄要因+(5)旧住管機構要因
・対前年比(%)
=(今月の調整後貸出残高-前年同月の調整前貸出残高)/前年同月の調整前貸出残高

(1)為替変動要因

為替の変動要因を避けるため、当月の外貨建貸出を前年の円・ドルレートで換算し直すことにより、当月の貸出残高を調整しています。

(2)貸出債権償却要因

貸出の償却は、バランスシート上貸出の減少となりますが、実際には、融資先に対する貸出額に変化はないため、過去1年分の貸出金償却、個別貸倒引当金取崩額、共同債権買取機構(2004年3月解散)への債権売却にかかる2次ロス、債権売却損、その他の債権放棄額、不良債権の売却価格の累計を当月の貸出に加えることで調整しています。

(3)貸出債権流動化要因

貸出の流動化も、償却要因と同様、実質上の貸出残高の変化ではないため、貸出債権流動化残高の前年差を当月の貸出に加えることで調整しています。

(4)旧国鉄清算事業団要因

旧国鉄清算事業団向けの貸出は、従来、総貸出額に集計されていましたが、1998年10月に一般会計に承継されたことから、集計対象から除外(中央政府向け貸出は総貸出額から除かれるため)し、当該貸出額を当月の総貸出額に加えることにより調整しています。ただし、これは、1999年10月までの措置となります(1999年10月以降の貸出については、当月およびその前年同月の総貸出額双方とも当該貸出は、含まないため)。

(5)旧住宅金融債権管理機構要因

旧住宅金融債権管理機構向け貸出は、従来、総貸出額に集計されていましたが、1999年4月より整理回収機構へ移行したことから、集計対象から除外(金融機関向け貸出は総貸出額から除かれるため)し、当該貸出額を当月の貸出額に加えることにより調整しています。ただし、これは2000年3月までの措置となります(2000年4月以降の貸出については、当月およびその前年同月の総貸出額双方とも当該貸出は、含まないため)。

<参考2>CP発行状況

従来「貸出・資金吸収動向等」により公表してきた「CP発行状況」については、2013年3月計数をもって公表を取り止めました。過去に公表したデータは、時系列統計データ検索サイトで検索が可能です。

CP発行状況については、株式会社証券保管振替機構が、短期社債の「発行者区分別残高状況」を公表しています。

<参考3>金融債、貸付信託

従来「貸出・資金吸収動向等」により公表してきた「金融債、貸付信託」の発行等残高については、2013年3月計数をもって公表を取り止めました。

金融債については日本証券業協会が「公社債発行額・償還額」を公表しているほか、貸付信託については一般社団法人信託協会が「全国信託財産調」を公表しています。