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「BIS国際資金取引統計の日本分集計結果」の解説

2018年9月
日本銀行金融市場局

作成部署、作成周期、公表時期等

作成部署
金融市場局総務課市場統計グループ
作成周期
四半期
公表時期
3・6・9・12月
公表方法
インターネット・ホームページ

1.「BIS国際資金取引統計の日本分集計結果」とは?

(1)統計の定義

「BIS国際資金取引統計」は、国際決済銀行(Bank for International Settlements、以下、BIS)が、世界の主要47か国・地域(以下、報告国)(注1)に所在する銀行の国際部門債権・債務の動きをグローバル・ベースで取りまとめた四半期統計です。日本銀行では、このうち、日本に所在する銀行(信用金庫等を含む)の動向について取りまとめた計数を「日本分集計結果」として公表しています。

(注1)

表 : 世界主要47か国・地域の報告国一覧
[先進国] [オフショア] [発展途上国]
オーストリア
ベルギー
キプロス
フィンランド
フランス
ドイツ
ギリシャ
アイルランド
イタリア
ルクセンブルク
オランダ
ポルトガル
スペイン
デンマーク
ノルウェー
スウェーデン
スイス
英国
オーストラリア
カナダ
日本
米国
バハマ
バーレーン
バミューダ諸島
ケイマン諸島
キュラソー(注2)
ガーンジィ
香港
マン島
ジャージー
マカオ
パナマ
シンガポール
ブラジル
チリ
中国
台湾
インド
インドネシア
マレーシア
メキシコ
フィリピン
ロシア
南アフリカ
韓国
トルコ
  1. (注2)2010年第3四半期までは蘭領アンチル

(2)統計作成の目的

「BIS国際資金取引統計」は、国際金融市場における銀行部門を通じた資金移動を把握するとの観点から、報告国に所在する銀行が、どの国・地域(統計作成に参加していない国・地域を含む)に向けて資金を供給し、どの国・地域から資金を取り入れているかを明らかにすることを目的としています。また、「日本分集計結果」を用いることにより、日本の銀行部門を通じた国際的な資金の移動を明らかにすることも可能です。

(3)統計作成の背景

1970年代入り後、欧州のオフショア市場における国際的な金融取引が拡大する中、日本を含む主要先進国の中央銀行では、国際的な資金の移動状況をこれまで以上に正確に把握する必要があるとの認識を強めました。これを受け、BISを中心に、グローバル・ベースでの「BIS国際資金取引統計」が開始されることになりました。

2.作成方法

(1)対象金融機関

日本に所在する銀行のうち、原則として特別国際金融取引勘定(Japan Offshore Market勘定)保有の承認を得ている銀行が対象となっています。

日本に所在する銀行とは、例えば、日本の銀行の国内本支店や外国の銀行の在日支店が対象となる一方、日本の銀行の海外支店は対象外となります。従って、米国の銀行の東京支店は日本に所在する金融機関と認識され、「日本分集計結果」に含まれますが、日本の銀行のロンドン支店は英国に所在する銀行として認識され、「英国分集計結果」に含まれることとなります。

(2)対象計数

対象金融機関の国際部門オンバランス債権・債務を対象としています(信託勘定を含む。下表参照)。具体的には、銀行の、(a)「国境を越える取引」、(b)「国境を越えない外貨建ての取引」から生じるオンバランス債権・債務が対象となる一方、(c)「国境を越えない円建ての取引」から生じるオンバランス債権・債務は対象となりません。なお、各銀行の本支店勘定を通じた自行海外支店および海外現地法人との取引から生じる債権・債務も対象となります。

▽BIS国際資金取引統計における国際部門債権・債務の範囲
  外貨建ての取引 円建ての取引
国境を越える取引 (a) (a)
国境を越えない取引 (b) (c)

シャドー部分が対象計数。

例えば、日本の銀行の国内店が保有する債権のうち、ドル建ての貸出や海外向けの円建て貸出は対象となる一方で、日本国内向けの円建て貸出は対象とならない扱いとなります。

(3)報告基準時点

毎年四半期末(3、6、9、12月末)時点の計数が報告されています。

(4)報告通貨単位

全て百万米ドルで報告されています。なお、円、英ポンド、スイスフラン、ユーロ建ての取引については、各報告基準時点における為替レートの月末終値により米ドルに換算されています。その他通貨建ての取引については、各報告基準時点における報告省令レートにより米ドルに換算されています。

(5)調査方法

日本銀行は、「外国為替及び外国貿易法」に基づき提出される報告書(「銀行等の非居住者等に対する国別債権債務に関する報告書」)や、日本銀行に提出されるその他の報告を加工・集計し、「日本分集計結果」を作成しています。

(6)利用上の留意点

金融機関からの誤報告等が発見された場合、速やかに計数の訂正を行っています。原則として、計数入手後もっとも近い公表日に、最大で過去12期に亘って訂正を行っています。

3.主な項目の内容

(1)掲載項目

日本に所在する銀行が国境を越えて行う全ての取引から生じる債権・債務残高を、(a)相手先国・地域別、(b)部門別、(c)通貨別、にそれぞれ分類しています。また、参考として、日本に所在する銀行の国境を越えない取引から生じる外貨建て債権・債務残高についても、通貨別に分類しています。これらの計数は、「公表データ」および「時系列データ」に掲載しています。

なお、(b)部門別、(c)通貨別の計数については、本統計の対象金融機関のうち、日本の銀行から報告されたデータを「邦銀計」として集計し、時系列データの「債権残高・債務残高」に掲載しています。

(2)掲載項目の簡単な解説

(a)「相手先国・地域別」

取引相手先の所在地に応じて、BISが取りまとめるグローバル・ベースの国際資金取引統計の国・地域別区分を基に分類しています(約130か国・地域)。
相手先国・地域が不明な取引については、「分類不能」に分類しています。「債務残高」の「分類不能」には、各金融機関が発行している有価証券を含みます。

(b)「部門別」

取引相手先を「銀行(預金を受け入れることができる金融機関、公的通貨当局、外国の中央銀行等も含まれます)」と「非銀行(銀行以外)」とに分類しています。2014年12月末計数からは、それぞれの内数として、「銀行うち本支店(自行の海外本支店)」、「非銀行うち非銀行金融機関」を掲載しています。「非銀行うち非銀行金融機関」には、「銀行」に分類されない金融機関(証券投資信託、保険・年金基金、補助的・非仲介型金融機関、その他の金融仲介機関等)が含まれます。
「国際機関」向け債権・債務のうち「銀行」向けとして分類していたものについては、2014年12月末計数から「非銀行うち非銀行金融機関」に部門分類を変更しています。また、「非銀行」に該当するものについては、引き続き「非銀行」に分類しています。
なお、債務の中には、「銀行」または「非銀行」に分類不能な計数があるため、両部門の合計値は、債務残高合計に一致しません。

(c)「通貨別」

取引に使用される通貨に応じて、円(国境を越える取引分のみ)、米ドル、英ポンド、スイスフラン、ユーロ、その他通貨に分類しています。

4.その他

(1)公表時期等

報告基準時点から約3か月後に公表されています(注3)

  1. (注3)スワジランド王国は、2018年4月19日に国名をエスワティニ王国に変更しましたが、「BIS国際資金取引統計」では、同国の名称には当面「スワジランド」を使用します。

(2)用語説明

「国際決済銀行(Bank for International Settlements)」

1930年に設立された中央銀行をメンバーとする組織(本部:スイス、バーゼル)です。ドイツの第1次大戦賠償金支払いに関する事務を取り扱っていたことが行名の由来ですが、それ以外にも当初から、中央銀行間の協力促進のための場を提供しているほか、各国中央銀行からの預金の受入れ等の銀行業務も行っています。加盟先は2015年6月末現在で60先あり、日本銀行は1994年9月から理事会メンバー(総裁がBIS理事)です。G10総裁会議が開催されるほか、同会議の下でグローバル金融システム委員会、バーゼル銀行監督委員会、決済・市場インフラ委員会等が活動を行っています。

「特別国際金融取引勘定(Japan Offshore Market勘定)」

一般に、国境を越える資金取引に対して、国内取引に適用される金融上および税務上の制約を受けることなく、比較的自由に取引を行うことができる国際金融市場をオフショア市場と呼びます。日本では、オフショア取引を行いたい金融機関は、財務大臣の承認を得て特別国際金融取引勘定(Japan Offshore Market勘定)を開設し、通常の国内取引に係る資金と区別した上で取引を行う必要があります。

「為替調整済前期差(Estimated exchange rate adjusted changes)」

為替調整済前期差は、原通貨建ての残高の前期差を期中平均為替レートで米ドル建てに換算することにより、主要通貨(円、ユーロ、英ポンド、スイスフラン)の為替レートの期中変動を調整した参考計数です。具体的には、1)米ドル表記の残高を四半期末時点の為替レートにより各主要通貨に換算した上で、2)前期差を算出し、3)当該前期差を期中平均為替レートで米ドル建てに再度換算し直して算出しています。本データの始期は2002年3月末です。

(3)「BIS国際与信統計」との比較

BISが取りまとめる統計のうち、銀行の国際部門を対象とする統計としては、「BIS国際資金取引統計」のほか、銀行による国別与信動向の把握を目的とした「BIS国際与信統計」(詳細については、「BIS国際与信統計の日本分集計結果の解説」を参照)があります。両者を比較すると、前者は、(a)債権と債務の両方を集計しているため、銀行の資金のネットポジションを把握できること、(b)通貨別の資金取引に関する情報を取得できること等がメリットとして挙げられます。