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「フェイルの発生状況」の解説

2015年11月
日本銀行金融市場局

作成部署、作成周期、公表時期等

作成部署
金融市場局
作成周期
月次
公表時期
翌月第8営業日目
公表方法
インターネット・ホームページ
データ始期
2001年1月

1. 公表について

日本銀行では、2001年1月、日本銀行当座預金決済および国債決済のRTGS化を実施しました。RTGS化に際しては、RTGS移行後の決済環境下における決済リスクの削減、決済の円滑性の確保を図る観点から、様々な市場慣行が整備されました。本統計は、RTGS化に合わせて導入された市場慣行の定着状況を判断する材料の提供を通じて、国債決済の円滑化に資することを目的として、調査・公表を開始したものです。

なお、2010年11月に、フェイル慣行の見直しに伴い、日本証券業協会の「国債の即時グロス決済に関するガイドライン」や関連する規則等の改正が行われました。これに合わせて、本統計についてもフェイルの対象取引の変更を行っています。

2. 掲載内容

フェイルの発生状況に関する計数を掲載しています。本計数は、国債振替決済制度の直接参加者のうち、日銀ネット(国債資金同時受渡システム)(以下、「日銀ネット国債DVPシステム」と言います。)を利用している金融機関等を対象としたアンケート調査(「国債決済の不処理(フェイル)の発生状況に関するアンケート調査」)の結果を集計したものです(注1)

本計数に関する留意事項は、次のとおりです。

  1. イ、フェイルとは、国債の受け方が、その渡し方から予定されていた決済日が経過したにもかかわらず、対象債券を受け渡されていないことを言います(注2)
  2. ロ、対象となる取引は、国債の売買取引およびレポ取引(条件付売買取引のスタート取引およびエンド取引並びに貸借取引の貸出および返済をいいます。)です。また、フェイルとして取り扱うためには、DVP決済(取引当事者間で双方の債権債務を明確に保全した形で合意し、国債と資金を同一日に決済する場合(アゲンスト決済)を含みます。)が前提となります。なお、DVP決済には、取引当事者間の約定において、日銀ネット国債系システムを利用することとされている決済(国債振替決済制度の口座振替については、自己口のほか、預り口および信託口にかかる決済を含みます。)のほか、ユーロクリアやクリアストリームなどを利用することとされている海外における決済を含みます(注2)(注3)
  3. ハ、フェイルの「合計件数」および「額面総額」は、アンケートの回答先(=国債の受け方)が当月中にフェイルを受けた件数および額面総額を合計したものです。
  4. ニ、フェイルの「平均期間」は、アンケートの回答先において当月中に解消されたフェイルにつき、当該フェイルが発生してから解消されるまでの日数(継続日数)を平均したものです。同様に「最長期間」は、当月中に解消されたフェイルのうち、継続日数が最長となったものの値です(いずれも営業日ベース)。
  5. ホ、バイ・インとは、フェイルを解消するため、(1)日本証券業協会「債券等のフェイルの解消に関する規則」の規定に従い、対象債券もしくは同種債券を市場価格で買い入れること、または(2)日本証券クリアリング機構もしくはその清算参加者が、日本証券クリアリング機構が定める規定に従い、国債証券を買い付けることを言います。「バイ・イン合計件数」は、アンケートの回答先が当月中に行ったバイ・インの件数を合計したものです。
  6. ヘ、「国債DVP(口座振替)」は、国債振替決済制度の振替口座簿における口座振替のうち、国債DVP取引によるものを言い、本統計では件数・金額(額面総額)のそれぞれについて、月中合計値(注4)を掲載しています。当該計数は、国債DVP取引のボリューム感を把握するための参考計数です(注5)
  • (注1)アンケート調査の対象先については、調査対象先としての要件(国債振替決済制度の直接参加者のうち、日銀ネット国債DVPシステムを利用している先)を満たす先に異動が発生する度に、母集団の洗替を実施しています。毎回の調査対象先の母集団の数は、公表資料に記載しています。
  • (注2)日本証券業協会(外部サイトへのリンク)「国債の即時グロス決済に関するガイドライン」および「『国債の即時グロス決済に関するガイドライン』、『フェイルチャージの実務に関する取扱指針』及び『相対ネッティング照合等の実務に関する取扱指針』に基づく決済についてのQ&A」をご参照下さい。
  • (注3)2010年11月分より公表内容の一部見直しを行ったことに伴い、「フェイルの発生状況」については、2010年11月以降の計数と2010年10月以前の計数には、不連続が発生しています。フェイルの「合計件数」および「額面総額」は、2010年11月分について、今般の見直し前の旧ベース(日銀ネット国債DVPシステムを利用した「国債と資金を同時に決済するDVP取引」におけるフェイル)の計数を参考として公表します。
  • (注4)日銀ネットにより処理された決済に関するデータであり、フェイルの発生により決済が行われなかったものは含みません。
  • (注5)2015年10月9日までは、国債登録制度の国債登録簿における登録記名者の変更(移転登録)にかかるDVP決済を含み、国債系オペ等にかかるDVP決済を含みません。