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企業物価指数(2010年基準)のFAQ

2015年3月

FAQの構成

物価指数のFAQの構成は、以下の通りとなっています。このページには、「2.企業物価指数(2010年基準)のFAQ」の質問一覧および回答一覧を掲載しています。

なお、企業物価指数(2010年基準)に関しては、FAQのほかに以下の解説があります。併せてご利用ください。

質問一覧

質問をクリックすると、質問に対する回答が表示されます。

企業物価指数の概要

企業物価指数の作成方法に関するもの

基準改定、新旧指数の相違に関するもの

回答一覧

2-1. 企業物価指数とは、どのような物価指数ですか。

企業物価指数(CGPI:Corporate Goods Price Index)は、企業間で取引される商品(財)全般に関する物価の変動を測定するものです(ただし、土地・建物など取引額が推計できないものや、中古品などは対象から除いています)。原則として国内品は企業(生産者)が出荷する段階の価格を、輸出(入)品は企業が輸出(入)する際の通関段階の価格を調査しています。

企業物価指数は、日本銀行が1887年1月基準以降、継続的に作成している物価指数です(1897年に東京卸売物価指数という名称で公表を開始)。当時、日本銀行が自ら物価指数を作成することとした主たる目的は、日清戦争を契機とした物価の高騰が大きな社会問題となる中で、主要な商品(財)の需給動向を敏感に反映する取引価格を卸商から収集し、これを集約した物価指数を作成することを通じて、通貨価値を測定することにありました。その後、景気分析の材料やデフレーターとしてのニーズなどに応えつつ、統計精度の向上を図りながら、継続的に作成してきています。この間、1952年基準改定時に東京卸売物価指数から卸売物価指数へ、2000年基準改定時に卸売物価指数から企業物価指数へと統計名称を変更しています。

2-2. 企業物価指数は、どのように利用されていますか。

企業物価指数は、(a)景気動向を測る上での経済指標、(b)デフレーター、(c)企業間の値決めの際の参考指標などとして、主に、以下のように利用されていると考えられます。

(a)景気動向を測る上での経済指標

国内企業物価指数の総平均指数は、国内で生産した国内需要家向けの商品(財)について、原則として企業(生産者)出荷段階の価格動向を集約しています。速報値計数を翌月上旬に発表しているなど速報性も高いことから、景気動向ひいては金融政策を判断する上での経済指標の一つとして重視されています。
また、輸出物価指数は、例えば、海外市場での需給動向や、為替相場の変動を踏まえた企業の価格戦略の一端がうかがえます。
輸入物価指数については、資源輸入国であるわが国の輸入インフレ圧力を測ることが出来ます。
このほか、参考指数の需要段階別・用途別指数については、需要段階別(素原材料、中間財、最終財)指数が、価格波及プロセスの把握など物価動向の多面的な分析に活用されているほか、用途別指数のうち消費財指数は、消費者物価指数(総務省作成)と対比して見られることが多いです。

(b)デフレーター

個々の品目や商品群などの指数は、『国民経済計算』(内閣府経済社会総合研究所作成)や『鉱工業生産指数』(経済産業省作成)において、デフレーター(金額計数から価格要因を除去して数量の変動を抽出するための基礎データ)として、広く利用されています。

(c)値決めの際の参考指標

一部の民間企業の間では、商取引等における値決めの際の参考指標として利用されています。

2-3. 企業物価指数の公表時期やデータの入手方法、照会先について教えてください。

項目1-2をご参照ください。

2-4. 企業物価指数では、どのような指数が公表されていますか。

2010年基準企業物価指数では、以下の指数を公表しています。

基本分類指数
名称 内容
国内企業物価指数
  • 国内で生産した国内需要家向けの商品(財)を対象とし、生産者段階における出荷時点の価格を調査。
  • 指数は、消費税を含むベースで作成。
  • 参考として、「夏季電力料金調整後」の指数も作成。
輸出物価指数
  • 輸出品を対象とし、通関段階(原則としてFOB建て)における船積み時点の価格を調査。
  • 指数は、円ベースと契約通貨ベースを作成(消費税を含まない)。
輸入物価指数
  • 輸入品を対象とし、通関段階(原則としてCIF建て)における荷降ろし時点の価格を調査。
  • 指数は、円ベースと契約通貨ベースを作成(消費税を含まない)。
参考指数 ~基本分類指数を組替え・加工することにより作成した指数~
名称 内容
需要段階別・用途別指数
(詳細は項目2-9参照)
  • 価格波及プロセスの把握などの分析ニーズに向けて、経済の循環過程における需要段階(素原材料、最終財など)や用途(建設用材料、資本財、消費財など)に応じて分類した指数。
  • 指数は、消費税を除くベースで作成。
  • 参考として、「夏季電力料金調整後」の指数も作成。
連鎖方式による国内企業物価指数
(詳細は項目2-10参照)
  • 基本分類指数が依拠する「固定基準ラスパイレス指数算式」が有する特性を補完するため、「連鎖基準ラスパイレス指数算式」により作成した国内企業物価指数。
  • 指数は、消費税を含むベースで作成。
  • 参考として、「夏季電力料金調整後」の指数も作成。
消費税を除く国内企業物価指数
(詳細は項目1-7参照)
  • 消費税を除くベースで作成した国内企業物価指数。
  • 参考として、「夏季電力料金調整後」の指数も作成。
戦前基準指数
(詳細は項目2-22参照)
  • 長期の時系列データを用いた分析ニーズに向けて、戦前基準指数の分類編成に組み替えた新基準指数を接続して作成した指数。
普通乗用車(北米向け、除北米向け)
(詳細は項目2-35参照)
  • 輸出物価指数の品目「普通乗用車」について、地域別(北米向けとそれ以外)に作成した指数。
  • 指数は、円ベースと契約通貨ベースを作成(消費税を除く)。

2-5. 基本分類指数の「国内企業物価指数」、「輸出物価指数」、「輸入物価指数」とはどのような指数なのですか。

基本分類指数は、企業物価指数の基本となる指数系列であり、対象範囲などが異なる「国内企業物価指数」、「輸出物価指数」、「輸入物価指数」の3物価指数から構成されます。
基本分類指数では、『日本標準産業分類』、『工業統計調査』、『貿易統計』等を参考にしつつ、採用品目を分類しています。

表 基本分類指数の「国内企業物価指数」、「輸出物価指数」、「輸入物価指数」
  国内企業物価指数 輸出物価指数 輸入物価指数
対象範囲 国内で生産した国内需要家向けの商品(財) 輸出品 輸入品
価格調査段階・時点 生産者出荷段階 通関段階(原則としてFOB建て)における船積み時点 通関段階(原則としてCIF建て)における荷降ろし時点

なお、基本分類指数の分類編成やウエイトに関しては、「2010年基準企業物価指数基本分類指数 品目分類編成・ウエイト一覧」をご参照ください。

2-6. 企業物価指数の総平均指数から何がわかりますか。

企業物価指数の総平均指数は、わが国全体の企業間で取引される商品(財)全般の物価動向を把握できると考えられます。
もっとも、企業物価指数の総平均指数については、平均的な企業が直面する商品(財)の組み合わせを固定したものではなく、この点、消費者物価指数の総平均指数が「平均的な家計が直面する商品(財・サービス)の組み合わせを固定した上で、これに要する費用が物価の変動によってどのように変化するかを指数値で示したもの」と定義されるのに対し、理論的な定義付けには曖昧な面があります。
このため、消費者物価指数やGDPデフレーターなどと対比させて利用する際には、国内企業物価指数の総平均指数のほか、参考指数である「需要段階別・用途別指数」の「消費財指数」などを、併せて利用することが望ましいと考えられます(詳細は項目2-9参照)。

2-7. 企業物価指数では、季節調整値を作成・公表していますか。

企業物価指数の中には、比較的はっきりした季節変動を示す品目がみられます。例えば、国内企業物価指数では、夏季電力割増料金が適用される小類別「電力」の品目や、出回り初期には高めに設定した価格を出回り終期にセールなどで値下げする小類別「衣類」の品目などが該当します。しかし、こうした品目は全体からみればごく僅かで、総平均指数では、明確な季節性は観察されていません。このため、企業物価指数では、季節調整済指数を作成・公表していません。
ただし、夏季電力割増料金については、総平均指数への影響が相応にあるため、これを調整した「夏季電力料金調整後」の指数を2005年基準より公表しています(項目2-8参照)。
なお、季節調整のプログラム(X-12-ARIMA)については、米国商務省センサス局のホームページから入手することが出来ますので、分析ニーズに応じ、ユーザーでも季節調整を行うことが可能です。

2-8. 「夏季電力料金調整後」の指数とは、どのような指数なのですか。

わが国の場合、電力会社の多くが夏場の電力需要の抑制を図るために、7~9月の期間、業務用電力に割増料金を適用します。従って、小類別「電力」や「総平均指数」の前月比は、他の条件を一定とした場合、7月はプラスに、10月は逆にマイナスとなります。このため、2005年基準より、参考系列として、以下の指数系列について、夏季の電力割増料金を控除した「夏季電力料金調整後」の指数を、作成・公表しています。これにより、夏場においても、関連する指数の変動を連続して捉えることが可能となります。

表 「夏季電力料金調整後」の指数
基本分類指数 国内企業物価指数 総平均、類別「電力・都市ガス・水道」、小類別「電力」
参考指数 需要段階別・用途別指数 国内需要財、中間財、国内需要財(国内品)、中間財(国内品)
連鎖方式による国内企業物価指数 総平均、類別「電力・都市ガス・水道」、小類別「電力」
消費税を除く国内企業物価指数 総平均、類別「電力・都市ガス・水道」、小類別「電力」

なお、参考系列として提供する「夏季電力料金調整後」の指数の多くは、基準年=100となりませんので、ご注意ください。これは、割増料金が適用される時期以外(10月から翌年6月まで)の指数水準を、本系列である夏季電力料金を含むベース(注)の指数水準と一致させる扱いにしているためです。本系列と参考系列の水準を7~9月時以外は一致させることで、「夏季割増」という料金体系が、より直感的に理解されるよう配意したものです。

  • 7~9月期に、実際に企業が直面する電力料金には、割増料金が適用されていますので、本系列はあくまでも割増料金適用ベースとすべきものと考えています。

2-9. 参考指数の「需要段階別・用途別指数」とは、どのような指数なのですか。

参考指数「需要段階別・用途別指数」は、価格波及プロセスの把握など物価動向を多面的に分析するため、経済の循環過程における需要段階(素原材料、最終財など)や用途(建設用材料、資本財、消費財など)に応じて、基本分類指数を組み替えた指数です。なお、指数は、消費税を除くベースで作成しています。
やや詳しくみると、需要段階別・用途別指数は、国内向け(内需)か輸出向け(外需)かによって分類した「国内需要財」(国内品+輸入品)と「輸出品」から構成されています。このうち、「国内需要財」については、生産活動のため使用・消費されるもののうち、第1次産業で生産された未加工のものを「素原材料」、加工過程を経たものを「中間財」に、最終需要に充てられるものを「最終財」として需要段階別に分類しています。さらに、需要段階毎に、それぞれ設定した用途別分類に応じて、細分類しています(例えば「建設用材料」「資本財」など)。一方、「輸出品」については、国内での用途に準じた用途別にのみ分類しています。
需要段階別・用途別指数では、素原材料(例えば原油)の価格動向と、中間財(例えばナフサ)、最終財(例えばプラスチック製日用品)の価格動向を比べることによって、素原材料から最終財への価格に対する波及効果を分析することが可能です。
また、消費者物価指数との関係では、指数動向を対比してみる際、基本分類指数の総平均指数より対象範囲が近い「需要段階別・用途別指数」の「消費財」指数を使用することが、より適当です(下図のグレー部分)。ただし、国内需要財に含まれる輸入品は、輸入物価指数を使用しており、本邦へ入着する段階の価格を円価格に換算したものであるため、輸入品の国内販価の価格動向とは一致しないことには、ご留意ください。

需要段階別・用途別指数(国内需要財)の分類編成

  • 需要段階別・用途別指数(国内需要財)の分類編成

需要段階別・用途別指数の分類編成やウエイトに関しては「2010年基準企業物価指数 需要段階別・用途別指数 品目分類編成・ウエイト一覧」を、ご参照ください。

2-10. 参考指数の「連鎖方式による国内企業物価指数」(連鎖指数)とは、どのような指数なのですか。また、基本分類指数の「国内企業物価指数」(ラスパイレス指数)との違いは何ですか。

基本分類指数の「国内企業物価指数」は、固定基準ラスパイレス指数算式により作成しています(ラスパイレス指数)。
ラスパイレス指数の特性としては、基準時以外のウエイトデータ収集が不要であることや、毎月の指数計算が比較的容易であることに加え、経済統計で重視される速報性に富んでいることなど、多くのメリットがあります。その一方で、ウエイトを基準時に固定しているため、(a)基準時から時間が経過するにつれ、各商品のウエイトと実際の取引シェアが乖離するほか、(b)個々の商品の総平均指数への影響度は、その商品の指数にウエイトを乗じた「加重指数」の大きさで決まってくるため、ある商品の指数水準が大幅に低下(上昇)した場合、同商品の価格変動が総平均指数に与える影響度が低下(上昇)する、というデメリットがあります。
企業物価指数では、他の政府統計と同様に、指数の基準年およびウエイトの算定年次を更新する基準改定を5年ごととしているため、上述のデメリットに加え、基準改定時には新旧基準指数の間で段差が生じます。
こうしたラスパイレス指数の特性を補完するために、企業物価指数では、参考指数として、「連鎖方式による国内企業物価指数」(連鎖指数)を作成しています。連鎖指数は、品目以上に連鎖基準ラスパイレス指数算式を採用しており、毎年ウエイトを更新し、1年ごと(毎年12月)に指数水準を100にリセットした指数を、基準年以降、掛け合わせることによって作成しています。言い換えれば、連鎖指数を用いれば、基準時以降のウエイトの変化を指数に反映することができるほか、指数水準の違いにより、総平均指数への影響度が変わるというラスパイレス指数のデメリットを回避できます。ただし、連鎖指数にも、指数の動きが上下変動を繰り返すような場合において、指数水準をリセットすることにより、より上位の分類の集計値がラスパイレス指数で算出した指数を上回るという、一般的に「ドリフト」と呼ばれるデメリットがあります。なお、連鎖指数の毎年のウエイト更新作業にかかる負担がかなり大きいほか、参照できるウエイトデータに制約があるため、現行の連鎖指数では、一部、簡略化した方法により、ウエイト算定を行っています。
連鎖指数に関する詳細な資料は、「『連鎖方式による国内企業物価指数』の公表 —『連鎖指数』導入の意義とその特徴点—」、「連鎖方式による国内企業物価指数」(日銀レビュー)をご参照ください。

2-11. 消費者物価指数、商品市況指数(日経商品指数、日本銀行国際商品指数など)、貿易統計の価格指数)、貿易統計の価格指数とはどう違うのですか。

これらの各指数は企業物価指数とは指数作成方法などが異なるため、対象範囲など、各指数の定義を確認した上で、利用ニーズに合わせ、使い分けることが必要です。

表 各指数
  企業物価指数
国内企業物価指数 輸出物価指数、輸入物価指数
対象範囲 企業間で取引される商品(財)
国内で生産した国内需要家向けの商品(財) 輸出入品(財)
価格調査段階 生産者段階 輸出入の通関段階
価格調査方法 品質が一定の商品の価格を継続的に調査
指数算式 ラスパイレス算式
表 各指数
  消費者物価指数
(総務省作成)
貿易統計の価格指数
(財務省作成)
商品市況指数
(日経商品指数)
商品市況指数
(日本銀行国際商品指数)
対象範囲 家計が購入する商品
(財・サービス)
輸出入品(財) 商品市場などで取引され、相場が需給関係に敏感に反応して変動する市況商品(財) 主要な国際市況商品
価格調査段階 小売段階 輸出入の通関段階 市場取引段階 市場取引段階
価格調査方法 品質が一定の商品の価格を継続的に調査 対象商品の平均単価 対象商品の平均単価 対象商品の平均単価
指数算式 ラスパイレス算式 フィッシャー算式 幾何平均算式 ラスパイレス算式

2-12. 企業物価指数は、かつて公表されていた卸売物価指数とは何が違うのですか。

日本銀行では、1952年基準(1954年12月公表)以来、卸売物価指数を作成してきましたが、2000年基準(2002年12月公表)から統計名称を企業物価指数へと変更しました。これは、2000年基準改定時に、価格調査段階の選定基準を一部変更した結果、卸売出荷段階を調査対象とする調査価格の比率(ウエイトベース)が2割を下回る程度に低下したことから、統計名称を実態に合わせて変更したものです。
なお、基準改定ごとに、統計精度の向上のために価格調査方法や指数作成方法の見直しを行っていますが、指数の主たる目的や機能について変更はないため、企業物価指数は、従来の卸売物価指数と連続してご利用頂くことが可能です。

2-13. 指数の作成方法について教えてください。

項目1-3をご参照ください。

2-14. 企業物価指数のウエイト算定には、どのような統計を使用しているのですか。

企業物価指数は「企業間で取引される商品(財)」を対象としていますので、そのウエイトには企業間取引額を使用することが適当です。しかし、こうしたニーズに合致する統計は現状見当たらないため、企業物価指数のウエイト算定では、基本的に『工業統計調査』(品目編、経済産業省作成)の製造品出荷額や、『貿易統計』(財務省作成)の輸出入額をベースに日本銀行が推計しています。また、非工業製品の出荷額の推計や、『工業統計調査』(品目編)や『貿易統計』のコード区分を細分化する必要がある場合には、他の官庁統計や業界統計等を使用しています。『工業統計調査』(品目編)、『貿易統計』以外でウエイト算定に使用している他統計の詳細は、「ウエイトデータ一覧」をご覧ください。

2-15. 企業物価指数で採用している品目は、どのように決めているのですか。

品目を採用する際には、次のような点を総合的に検討した上で、決めています。具体的には、

  1. (a)ウエイト計算に当たって信頼性のある取引額(ウエイトデータ)が利用可能であること、
  2. (b)(a)の取引額が品目の採用基準額を上回っていること、
  3. (c)品質一定の下での継続的な価格調査が可能なこと、
  4. (d)デフレーターとしてのニーズや、全体の指数精度の維持、カバレッジの拡大、消費者物価指数など他統計とのバランス、

等です。

(b)の採用基準額は、重要度の高い商品を選定する上での一つの目安として設定しているもので、原則として、ウエイト算定年次(2010年)におけるウエイト対象総取引額をベースに設定しています。
ただし、ウエイト算定年次における取引額が採用基準額に満たない商品であっても、先行き取引額の増加が見込まれる場合や品目分類編成上のバランス等から必要な場合は採用基準額に近いものは単一品目として、同種の商品をまとめた商品グループとしてみれば採用基準額に達する場合は集合品目(例えば、国内企業物価指数の「衛生材料」は医療用ガーゼ、包帯、脱脂綿、その他の集合品目)として、弾力的に採用しています。
一方、取引額が採用基準額以上の商品であっても、年によって取引額の変動が激しいものなど(例えば生鮮食品)は、品目として採用していません。
なお、2010年基準指数における採用基準額、採用品目数は、次のとおりです。

採用基準額
  国内企業物価指数 輸出物価指数 輸入物価指数
ウエイト対象総取引額 2,141,092億円 601,762億円 570,376億円
ウエイト対象総取引額に対する比率 1万分の1 1万分の5 1万分の5
採用基準額 214億円 301億円 285億円
  <参考>2005年基準 232億円 300億円 266億円
採用品目数
  採用品目指数
  <参考>2005年基準
国内企業物価指数 822 857
輸出物価指数 210 213
輸入物価指数 254 268
合計 1,286 1,338

2-16. 企業物価指数では、どのような流通段階の企業から価格を調査しているのですか。

国内企業物価指数では、原則として、生産者段階の価格を調査しています。具体的には、下記のとおりです。

  1. (a)自社工場で生産し、販売する段階
  2. (b)委託会社から無償支給された原材料を使用して、受託会社が生産し、委託会社が販売する段階
  3. (c)受託会社(子会社を含む)が生産し、委託会社が買い取る段階

ただし、生産者段階での価格調査が難しい、あるいはそれに適さないと判断される場合は、卸売段階の価格を調査しています。例えば、リベート(販売奨励金)が実質的な価格調整機能を担っていて、リベートを支払う側の企業(生産者)からはそれを調整した後の価格が調査できないケースが該当します。
詳しくは、「2010年基準国内企業物価指数価格調査段階一覧」をご参照ください。

2-17. 輸出入物価指数における貿易取引条件(FOBやCIF)に関する考え方を、教えてください。

項目2-5でみたように、輸出物価指数(輸入物価指数)は、本邦から輸出する(本邦へ輸入する)通関段階での価格を調査するため、原則として、輸出物価指数では、FOB(free on board、本船渡し)、輸入物価指数では、CIF(cost, insurance & freight、保険料運賃込み)での価格を調査するようにしています。ただし、このような原則を設けつつも、企業間での商慣行や実務作業の負担等を理由に、輸出物価指数でCIF、輸入物価指数でFOBでの価格を企業が報告する場合は、それを尊重しています。
なお、類別ごとの内訳については、「輸出入物価指数の貿易取引条件の内訳」をご参照ください。

2-18. 企業物価指数では、どのような価格を企業から調査しているのですか。

企業物価指数では、現在、約8,800の価格(国内企業物価指数:約6,000、輸出物価指数:約1,300、輸入物価指数:約1,500)を調査しています。

価格調査にあたっては、原則として、国内企業物価指数では、企業(生産者)の出荷段階における取引価格を、輸出(入)物価指数では、企業が輸出(入)する際の通関段階における取引価格を、それぞれ調査しています(銘柄指定調査)。
また、実際の取引価格の価格調査が困難な場合は、取引の実態を極力反映するよう、平均価格・値引率調査、利益率調査などを採用しています。詳しくは、「2010年基準企業物価指数の解説」の「7.調査価格」をご参照ください。
なお、国内企業物価指数における類別ごとの調査価格の割合については、「2010年基準国内企業物価指数調査価格の性質一覧」をご参照ください。

2-19. 企業から回答が得られない場合や、調査時点で取引・契約がない場合は、どのような扱いをしていますか。

項目1-5をご参照ください。

2-20. 官庁や業界団体等が作成している統計は利用しないのですか。

項目1-6をご参照ください。
なお、外部データを採用している品目と外部データ内容については、「外部データ一覧」をご参照ください。

2-21. 消費税等の間接税は、指数を作成する上でどのように扱われていますか。

項目1-7をご参照ください。

2-22. 企業物価指数の動きを長期的な時系列で眺めたい場合は、どうすればよいですか。

企業物価指数の長期時系列データには、「2010年基準接続指数」と「戦前基準指数」の2種類があります。ただし、これらの指数は、採用品目や品目ウエイト、品質調整方法などの違いにより性格が異なる各基準の指数を機械的に接続したものであることに、ご留意ください。
「2010年基準接続指数」については、項目1-12をご参照ください。
「戦前基準指数」とは、2010年基準の基本分類指数および需要段階別・用途別指数の国内需要財指数を戦前基準指数の分類編成(基本分類12類別、特殊分類<用途別>5分類)に組替え、2010年1月以降の指数を2009年12月までの戦前基準指数に接続したもので、1934~1936(昭和9~11)年の年平均を1とした指数です。

2-23. どういう場合に過去の計数の訂正を行っているのですか。また、何を見ればわかりますか。

項目1-8をご参照ください。

2-24. 時系列データにxという表示がありますが、これはどういう意味ですか。

項目1-4をご参照ください。

2-25. 輸出入物価指数における契約通貨別の構成比は、どのようになっていますか。

輸出入物価指数の契約通貨別構成比」をご参照ください。

2-26. 円ベースの指数を作成する際にどのような為替相場を用いているのですか。

円ベースの指数を作成する際には、契約通貨建て価格を銀行の対顧客電信直物相場(仲値)の月間平均値により、調査価格ごとに円価格に換算のうえ、指数化しています。したがって、例えば、企業において独自の社内為替レートを採用している場合などは、取引実態とは異なる為替変動が反映される可能性は残ります。
また、円価格に換算する際は、契約の有無にかかわらず、その月の為替相場の動きを一律に反映させるかたちで、円換算を行っております。したがって、その月に契約がなく、契約通貨建て価格<指数>が横這いの時でも、為替相場が変化すれば、円建て価格<指数>は変動するため、輸出入物価指数、需要段階別・用途別指数などをご利用になる際には、この点も認識した上で、ご利用ください。

2-27. 企業物価指数の「調査価格」とは、何ですか。また、どのように設定されているのですか。

「調査価格」とは、同一条件の下で継続的に価格を調査するために設定している調査単位で、商品だけではなく、価格に影響を及ぼし得る諸条件を含め設定しています(このため、消費者物価指数で用いられる「調査銘柄」より幅広い概念と考えられます)。
具体的には、調査価格の設定に際しては、原則として、次のような諸条件についても固定しています。

(a)商品の固定

ウエイトデータが依拠する『工業統計調査』などを参考に定義される品目範囲に該当する商品で、当該品目の価格動向を代表させるのに相応しい商品を選定しています。
素材、性能、規格等のほか、容量も、調査開始に当たって、あらかじめ固定します。

(b)取引先の固定

同一商品であっても、例えば、顧客との関係の濃淡などによって取引先ごとに価格が異なる場合があるため、通常、(a)を固定した後、継続的な取引が期待される中で、もっとも取引金額や取引数量が多い取引先に固定することを原則としています。ただし、取引先によって、価格が大きく異なる可能性がある場合には、一部の取引先に偏ることがないよう配慮しています。

(c)取引条件の固定

同一商品・取引先固定であっても、例えば、商品の取引条件が工場渡しか持込渡しかによって、価格が異なる場合があるため、受渡し条件(工場渡し、指定地渡し、持込渡しなど)を固定します。
輸出物価指数、輸入物価指数では、インコタームズ(Incoterms、取引条件の解釈に関する国際規則)、例えば、CIF(cost, insurance & freight、保険料運賃込み)やFOB(free on board、本船渡し)などを固定します(内訳については項目2-17参照)。

(d)取引数量の固定

同一商品・取引先固定・取引条件固定であっても、例えば、一定以上の数量の取引を条件に価格を割安に設定することなどにより(所謂「ボリュームディスカウント」、「非線形価格設定」)、月々の取引数量の変化によって、価格が変動することがあります。こうした変動を物価変動とみなすことは、厳密には適切でないと考えており、取引数量を固定するようにしています。

(e)為替条件の固定

(a)~(d)のほか、取引する際の契約通貨も固定しています(契約通貨比率については項目2-25参照)。

このほか、どのような価格を調査するか等も調査価格ごとに決めています(項目2-18参照)。

2-28. 「平均価格・値引率調査」や「利益率調査」は、どのような場合に採用しているのですか。

企業物価指数では、項目1-10でみたように、品質変化の影響を除いた純粋な価格変動を把握するため、「調査価格」を設定した上で(項目2-27参照)、値引きなどを含めた実際の取引価格を調査することを原則としています。
しかし、例えば、資本財などでは規格化された商品が少なく個別性が強い(オーダーメード型)商品が多いほか、多品種少量生産の進展に加え企業の価格設定・戦略が多様化するなど、わが国の取引慣行や商品は多様化によって、価格設定も複雑化しています。これに伴い、従来型の「調査価格」設定では実勢価格の動向を捕捉することが困難と考えられる商品を調査する場合、品質の固定条件を一部緩め、商品グループ(似通った商品や異なる取引条件・取引先などで括ったグループ)を対象とした「平均価格・値引率調査」や「利益率調査」を採用しています。
なお、類別毎の「平均価格・値引率調査」、「利益率調査」の採用状況については、「2010年基準企業物価指数調査価格の性質一覧」をご参照ください。

2-29. 仮価格とは何ですか。

一部の石油化学製品などでは、例えば、「4~6月分の出荷価格が6月に決まる(正式な価格が後決めされる)」といった商慣行が一般的な場合があります。このように、契約期間が四半期または半期など複数月に渡り、かつ、当該期間中の取引価格が契約期間に入った後や契約期間終了後に決定される商品については、企業物価指数では「価格後決め商品」として扱っています。このうち、例えば、エチレンなど、正式な価格が決定するまでの間、実際の取引に使用される暫定的な決済価格が入手できる場合は、企業物価指数では「仮価格」と称し、正式な価格が決定するまでの間、これを利用して指数を作成しています。「仮価格」は、決着価格を見越して決定される客観的な価格で、かつ、実際にその価格で暫定的な決済が実施されていることを確認した上で、採用しています。このため、見積価格や決済を伴わない仮置き価格などは、該当しません。

2-30. 消費財などでは商品の世代交代が頻繁に生じていますが、新商品の価格は調査されているのですか。また、調査対象としている商品の内容やその変更状況を教えてください。

品目未満の調査価格については、品目の代表性を確保することを目的として、その時々の経済・産業構造の変化を踏まえた構成に柔軟に調整するようにしています。
こうした観点から、企業物価指数では、新しい商品が登場し、それがこれまで調査してきた商品に代わる主力商品に成長してきた段階で、速やかに調査価格の調査対象商品を変更することとしています。一方、従来の商品と大きく異なった新しい種類の商品が登場し、既存の品目範囲では捉えきれない場合は、5年毎の基準改定の際、新たな品目を設けて、指数に取り込むようにしています。

2-31. 新旧対象商品を変更する際に、新旧商品に質的な差がある場合、両者の価格差を、企業物価指数上でどのように処理しているのですか。

項目1-10をご参照ください。

2-32. ヘドニック法はどのような商品を対象に適用しているのですか。また、ヘドニック法を用いることによって、値下がりを実態以上に指数に反映してしまうことはありませんか。

企業物価指数では、新旧調査価格の品質調整(項目1-10参照)を実施する際、コスト評価法やオーバーラップ法を中心に適用していますが、「商品の変更時に複数の特性が変化し、個々の特性の変化に対応するコスト評価が難しい」、「商品サイクルが短く新旧商品が市場で同時期に出回ることがほとんどないため、オーバーラップ法の適用が難しい」といったIT関連商品に対し、順次ヘドニック法を適用してきています。具体的には、次のような商品に適用しています。
実際に使用しているヘドニック推計式の内容は、「ヘドニック法の適用実績」をご参照ください。

ヘドニック法の適用状況
適用商品 企業物価指数 品目名称 適用始期 再推計頻度
パーソナルコンピュータ
(ノート型/デスクトップ型
/タブレット型)
P パーソナルコンピュータ(デスクトップ型)
パーソナルコンピュータ(ノートブック型)
1990年1月 年2回
E パーソナルコンピュータ(ノートブック型)
I パーソナルコンピュータ(デスクトップ型)
パーソナルコンピュータ(ノートブック型)
デジタルカメラ P デジタルカメラ 2001年1月 年2回
E ビデオカメラ・デジタルカメラ
I ビデオカメラ・デジタルカメラ
ビデオカメラ P ビデオカメラ 2001年1月 年1回
E ビデオカメラ・デジタルカメラ
I ビデオカメラ・デジタルカメラ
PCサーバ
UNIXサーバ
P サーバ 2000年1月 年1回
I サーバ
印刷装置 P 印刷装置 2004年1月 年1回
E 印刷装置
I 印刷装置
  • 表中のPは国内企業物価指数、Eは輸出物価指数、Iは輸入物価指数を示しています。

ヘドニック法の適用拡大に慎重な立場からは、過剰な品質調整が品目指数の下方バイアスをもたらしている、との指摘が寄せられています。これに対しては、次のように考えています。
品質調整に用いているヘドニック推計式は、ある時点において市場に出回っている商品の特性と価格情報から、統計的に有意と判定されて得られた推計式ですので、他の品質調整方法に比べ、ある意味、客観性を有しています。また、ヘドニック法による品質調整によって、パーソナルコンピュータなどの指数が表面価格の動きに比べ大きく下落してきたことは事実ですが、この間の品質向上分が、他の品質調整方法に比べて過大評価されているとは、必ずしも言えないと考えています。一方、推計に用いるデータが得られないため、ヘドニック推計式に含めることが出来ないような特性があること、技術革新の速度が速いためヘドニック推計式のパラメータが陳腐化してしまう可能性があることなど、ヘドニック法にも一定の限界があることには留意が必要です。
日本銀行では、ヘドニック法の適用に際して、適用拡大を志向している訳ではなく、あくまで指数精度の向上に資するか否かという観点から検討し、同時に、実務面を含めた諸コストを考慮のうえ、適用の可否を総合判断しているというのが実態です。

2-33. 2005年基準企業物価指数と2010年基準企業物価指数では、何が違うのですか。

2012年6月速報公表時より、企業物価指数は、2005年基準から2010年基準へ移行しました。主な変更点は、次のとおりです。

  1. (a)指数の基準年およびウエイトの算定年次を2005年から2010年に更新
  2. (b)品目分類編成の見直し(採用品目の変更とそれに伴う調査価格の変更など)(項目2-34参照)
  3. (c)参考系列および参考指数の改廃(項目2-35参照)

詳しくは、「2010年基準企業物価指数の改定結果」をご参照ください。

2-34. 2010年基準企業物価指数で新しく調査対象となった品目、調査対象でなくなった品目は何ですか。

2010年基準では、国内19品目・輸出12品目・輸入15品目を新しく調査対象(新規品目)とし、国内45品目・輸出22品目・輸入30品目の調査を取り止め(廃止品目)ました。
詳しくは、「2010年基準企業物価指数の改定結果」をご参照ください。

2-35. 参考指数の「普通乗用車(北米向け、除北米向け)」とは何ですか。

輸出物価指数の品目「普通乗用車」について、輸出先地域を北米とそれ以外の地域に分類し、作成した指数です。

輸出入物価の地域別指数は、実質輸出入のデータ精度向上につながると考えられるほか、為替レートの変動に対する企業の価格設定行動や企業収益動向の分析へも活用することが可能なため、ユーザーの方からの要望が寄せられています。しかし、実勢を把握するために必要十分な調査価格数を地域別に継続して確保することが難しいケースが多いことも事実です。そこで、2010年基準改定では、わが国の代表的な輸出品目の一つである「普通乗用車」に限り、北米向けと北米以外向けに分割した参考系列を作成・公表することとしました。

2-36. 企業物価指数の2010年基準改定に関してまとめた資料はありますか。

2010年基準改定に関する資料としては、次のようなものがあります。

2-37. 国内企業物価指数の英語名称がDCGPI:Domestic Corporate Goods Price IndexからPPI:Producer Price Indexへ変更されましたが、異なる統計になったのですか。

企業向けサービス価格指数の2010年基準指数への切り替えと同時に、企業段階の物価統計における事実上のグローバル・スタンダード(国際標準)である生産者物価指数(PPI:Producer Price Index)の概念との比較・整理を踏まえて、国内企業物価指数の英語名称をDCGPI:Domestic Corporate Goods Price IndexからPPI:Producer Price Indexに変更しました。ただし、これは英語名称のみの変更であり、企業物価指数の体系や日本語名称に変更はありません。

詳細は、「企業向けサービス価格指数・2010年基準改定結果」をご参照ください。