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製造業部門別投入・産出物価指数(1995年基準)のFAQ

2005年 1月

目次

4. 製造業部門別投入・産出物価指数(Input-Output Price Index of Manufacturing Industry by Sector

4−1. 製造業部門別投入・産出物価指数とはどんな物価指数ですか。

製造業部門別投入・産出物価指数は、製造業の生産活動に焦点をあてたもので、(a)生産のために投入される財の価格を集約した「投入物価指数」、(b)生産される財の価格を集約した「産出物価指数」、(c)産出物価指数を投入物価指数で除した「交易条件指数」の3つの系列の指数を総称したものです。

4−2. 製造業部門別投入・産出物価指数はどのような用途に用いるのですか。

製造業部門別投入・産出物価指数は、総務省統計局『産業連関表』に示された投入・産出構造を基にして、製造業の各部門毎に投入物価指数と産出物価指数を計算したもので、(a)各部門における短期的な収益環境の変化(物的投入コストの変動と産出製品の価格変動との比較 <4−3参照>)の分析に広く利用されています。また、(b) 内訳小分類等の下位分類指数は、企業物価指数や企業向けサービス価格指数等の他の物価指数と同様に、内閣府経済社会総合研究所が作成している『国民経済計算(GDP統計)』などにおける基礎データとしても広く利用されています。

4−3. 交易条件指数の見方を教えてください。

交易条件指数は、産出物価指数を投入物価指数で除したもの(「製造業総合部門」および14の「大部門」について作成)で、その動きから、当該部門の短期的な採算の変化に関する情報を得ることができます。

例えば、Aという部門において、投入物価指数が、100から105に上昇する一方、産出物価指数が105で横ばいであった場合、交易条件指数(産出物価指数/投入物価指数×100)は、105から100に低下します(これを「交易条件が悪化した」<上昇の場合は「改善」>と言います)。これは、生産のために使用している財(原材料、燃料)の価格が上昇したにもかかわらず、生産している財(製品)の価格が上がらない状態にある、すなわち、財の価格面からみた当該部門の収益環境が悪化していることを意味しています。

ただし、上のような交易条件の考え方は、(a)あくまで基準時点の投入・産出構造を前提としている(技術革新や製品構成の変化を考慮していない)こと、(b)実際の企業収益には、減価償却費や人件費、金融費用等の固定費負担の多寡が大きく影響する(生産量が増えれば、固定費負担は小さくなる)こと、(c)財以外の投入価格(サービス価格)の動向を考慮していないこと、等の限界がある点には注意が必要です。冒頭に、「短期的な採算の変化に関する情報を得ることができる」と書いたのはこのためです。

4−4. 製造業部門別投入・産出物価指数の「部門」分類と、企業統計でよく使われている「産業」分類は、同じ概念と考えてよいですか。

製造業部門別投入・産出物価指数の「部門」分類と、「産業」分類(「業種」分類)は、非常に近い概念であり、「部門」毎の大まかな動きをみるうえでは、両者の違いをさほど意識する必要はありません。

ただし、厳密にみると、両者には、企業の生産活動の定義の仕方によって以下のような違いがあります。例えば、ある企業(A)が、化学製品と食料品の双方を生産しており、かつ化学製品の方が売上全体に占める割合が大きいケースを考えてみましょう。「産業」分類は、その企業が生産している「主たる製品」が何か、を基準としているため、先の企業Aの場合は、食料品を含めた全ての生産活動が、「化学製品」製造業として分類されています。一方、製造業部門別投入・産出物価指数は、ウエイトデータである総務省統計局『産業連関表』と同様に、個々の「生産活動」を単位とした分類に従っており、同じ企業Aの生産活動であっても、「化学製品」の部分は「化学製品」製造業に、「食料品」の部分は「食料品」製造業に分類しています。

このため、個別産業レベルにおける売上高や収益(これら統計の多くは「産業」分類に従っています)と、本指数の動きを詳細に比較する等の場合には、こうした分類概念の違いについても注意が必要です。

4−5. 製造業部門別投入・産出物価指数と企業物価指数の違いを教えてください。

企業間で取引される「財(モノ)」の価格を対象としている点で、両者は非常に似通っていますが、企業物価指数が、企業間で取引される「全ての財」を対象としている一方、投入物価指数は、製造業の生産活動において「投入される財(国内品+輸入品)」、産出物価指数は、生産活動によって「産出される財(国内品+輸出品)」という特定の領域を対象としています。

同じ財の価格を対象とした指数であるにもかかわらず、しばしば、企業物価指数がマクロの経済動向をみるための指標、製造業部門別投入・産出物価指数が、収益環境の変化や価格の波及過程の分析等、より専門的な分析用の道具と言われるのはこのためです。

因みに、本指数の沿革は以下のとおりですが、企業物価指数(卸売物価指数)の付属指数から独立・発展してきたという歴史自体が、同じ財の価格を対象としつつ、異なった利用ニーズに応える形で、両指数が発展してきた経緯を物語っています。

1963年:卸売物価指数(1960<昭和35>年基準)の付属指数として、「部門別指数」の名称で発足。

1969年:「製造業部門別物価指数」(1967<昭和42>年基準)として、卸売物価指数から独立。

1979年:現在の「製造業部門別投入・産出物価指数」という名称に変更。

4−6. 製造業部門別投入・産出物価指数には、「部門」分類と「内訳」分類があるようですが、両者の違いを具体的に教えてください。

製造業部門別投入・産出物価指数には、14の大部門(「部門」分類)と18の内訳大分類(「内訳」分類)があり(かつ、そのうちの14は同じ名前です)、一見したところ非常にわかりにくい構造となっています。そこで以下では、衣服の生産を例にとって、「部門」分類と「内訳」分類の違いを具体的にみてみましょう。

衣服の生産には、糸、合成繊維、ボタン等の原材料が用いられますが、これを「投入物価指数」に則した形で説明すると、「繊維製品(衣服)」という「部門」の生産活動には、「繊維製品(糸)」、「化学製品(合成繊維)」、「その他の製造工業製品(ボタン)」という「内訳」分類に属する生産物が投入されている、となります。

つまり、投入物価指数における「部門」分類は、当該製品を生産している産業に関する分類(正確には、当該製品の生産活動に関する分類:4−4参照)、「内訳」分類は、その生産のために使用される原材料等に関する分類に対応しています。再び先の例に戻れば、投入物価指数における、「繊維製品」という「大部門」指数の上昇は、「繊維製品」という産業にとって、投入コストが上昇したことを意味しています。一方、「繊維製品」という「内訳大分類」指数の上昇は、他の部門にとって、「繊維製品」という原材料の価格が上昇したことを意味している訳です。

一方、産出物価指数においては、「部門」分類は、当該製品を生産している産業に関する分類、「内訳」は、その生産により産出された製品に関する分類として定義されます。しかし、産出の場合は投入とは異なり、各部門の産出物とそれが属する内訳分類は一致している(大部門=内訳大分類)ため、両者を区別して考える必要はありません。

4−7. 製造業部門別投入・産出物価指数で採用している内訳小分類やウエイトはどのように決めているのですか。

内訳小分類(指数公表の最小単位)は、総務省統計局『産業連関表』の基本分類に沿う形で設定しています。ただし、製造業部門別投入・産出物価指数は、企業物価指数の品目指数を組み替えた加工統計であるため(詳しくは4−15をご覧ください)、当該内訳小分類に対応する品目指数が、企業物価指数側に存在していなければ、対象外の扱いとなります。

内訳小分類以上の分類ウエイトは、総務省統計局『産業連関表』に基づいています。すなわち、投入物価指数は、基準年における同表の購入者価格ベースの中間投入額を、産出物価指数は、同表の生産者価格ベースの国内生産額を、それぞれウエイトとして使用しています。なお、内訳小分類を構成する品目のウエイトについては、企業物価指数の品目ウエイトの比率を使用しています。

4−8. 製造業部門別投入・産出物価指数には、何故サービスが含まれていないのですか。

企業の交易条件(4−3参照)をみていく上では、本指数にサービスを取り入れたほうが良いという考え方も十分ありえます。しかし、企業向けサービス価格指数には、サービス取引のなかで大きなウエイトを占める卸小売業の商業マージンや金融機関の利鞘(帰属利子)が、信頼性のある適当な価格データの入手が困難であるため含まれていない(3−12参照)など、カバレッジ等の面でも十分とは言えません。日本銀行としては、不十分な形のまま、無理に両者を統合するよりも、分析ニーズに応じた加工・組み替えはユーザーの皆様の手に委ねつつ、その材料である個々の物価指数の精度や透明性を高めていくことの方が先決と考えており、現在のところサービスの取り込みは考えていません。

4−9. 指数を作成するうえで、消費税はどのように扱われていますか。

投入物価指数(国内品および輸入品)と、産出物価指数のうちの国内品は消費税を含むベース、産出物価指数のうちの輸出品は消費税を含まないベースで作成しています。

4−10. 製造業部門別投入・産出物価指数は、時折、過去の計数が訂正されていますが、どういう場合にリバイスを行っているのですか。何かルールはあるのですか。

本指数は、企業物価指数の品目指数を価格データとして利用しているため、訂正の方法も企業物価指数の基準(2-16参照)に準じています。

4−11. 製造業部門別投入・産出物価指数は、季節調整されていますか。

製造業部門別投入・産出物価指数は、企業物価指数と同様に、季節調整は行っていません(詳しくは、2−33をご覧ください)。

4−12. 製造業部門別投入・産出物価指数は5年毎に基準改定されていますが、より長期的な動きを時系列で眺めたい場合はどうすればよいのですか。

製造業部門別投入・産出物価指数では、現行基準(1995<平成7>年基準)指数のベースで、過去に遡って計算した指数(1995<平成7>年基準接続指数)を作成しています。具体的には、「大部門」以上の指数系列について1990年1月まで遡及して作成しています。ただし、同指数は、各基準年の指数を長期にわたって繋いだものであるため、5年毎の基準改定によって、(a)採用品目やウエイトが見直されていること、(b)基準年の変更により個々の指数レベルが一旦基準年=100.0に戻るため、品目指数の変化率が変らなくても、上位分類指数へ及ぼす影響度が変わっていること(2−30参照)から、厳密には、基準年の切り替え時点で指数の性格が変化している点にご注意ください。

なお、「内訳分類」については接続指数を作成・公表しておりませんので、ユーザーの皆様ご自身で接続計算を行って頂く必要があります。具体的な計算式は、次のとおりです。

  • 図表

ただし、本指数は、2000年7月に実施した1995(平成7)年基準への改定に併せて、指数の作成方法が大幅に変更されているため(詳細は4−15〜4−18をご覧ください)、過去の指数との連続性が途切れています。従って、接続指数を作成する際は、2000年6月まで公表していた旧方式による指数ではなく、見直し後のベースで作成し直した「新1990(平成2)年基準」の指数をご使用ください。

4−13. 製造業部門別投入・産出物価指数のデータはどこから入手すればよいですか。

毎月の記者発表資料は、本ホームページの「統計・データ」のコーナーで、公表と同時に閲覧できます。なお、公表日程については、同「公表日程」コーナーをご参照ください。

また、「統計・データ」の中の「時系列データ」コーナーをご利用頂ければ、殆どの公表データを電子ベースで入手することができます。このほか毎月央に発刊される『物価指数月報』など、インターネット以外のデータ入手方法もあります。なお、投入物価指数のうち大部門別の内訳分類指数は、利用ニーズが小さいため、ホームページには掲載していません。必要な方は、調査統計局物価統計担当(Tel 03-3279-1111 内線4060)まで直接ご照会ください。

インターネット以外でのデータ入手方法や最新データの公表時間などについては、2−39および2−40をご覧ください。

4−14. 指数の内容についての照会はどこにすればよいですか。

日本銀行が作成している物価指数に関するお問い合わせは、下記のいずれかにお願いします。なお、最新データの公表時間などについては、2−39および2−40をご覧ください。

調査統計局物価統計担当

Tel : 03-3279-1111(内線 4060)

情報サービス局統計照会窓口

Tel : 03-3279-1111

4−15.1995年基準指数から、作成方法を大幅に変更したと聞きましたが、具体的には、どういう変更が行われたのですか。

製造業部門別投入・産出物価指数は、従来、卸売物価指数の品目指数と、本指数作成のために独自に収集した調査価格の両方を価格データとして使っていましたが、2000年7月に基準改定を行った1995(平成7)年基準指数からは、費用対効果の観点(詳しくは4−16をご覧ください)から、独自の価格調査を取り止め、卸売物価指数の品目指数を組み替えて作成する方式に全面的に移行しました(これを全面加工統計化と呼んでいます)。

また、従来は、自部門内取引を含む「グロス・ウエイトベース」指数と、これを控除した「ネット・ウエイトベース」指数の双方を作成・公表してきましたが、後者については、実務的な作成コストの割に、利用度が低いため、作成・公表を中止しました。さらに、グロス・ウエイトベース指数のうち「部門」指数も、同様の理由で作成・公表を中止しました。

4−16. 1995年基準指数から、卸売物価指数を利用した加工統計へ移行したと聞きましたが、それはどういった理由によるものなのですか。

1995(平成7)年基準指数から、加工統計へ移行した背景は以下のとおりです。

  1. (a)わが国の産業・流通構造の変化に伴い、1995(平成7)年基準の国内卸売物価指数では、既に全体の7割(ウエイトベース)が生産者段階の価格となっており、独自の価格調査を交えて、本指数を作成する意義が薄れてきていること。
  2. (b)本指数は、ウエイトの基礎資料の制約から、投入物価指数の品目ウエイト(最も小さい公表単位である「内訳小分類」の中のウエイト)に産出物価指数の品目ウエイトを流用するなどの便法を用いるなど、統計精度上の問題を抱えており、独自調査や内訳分類の細分化にかけているコスト(調査先の皆様へのご負担<報告者負担>や集計に関わる事務コスト)が、それに見合うだけの効果を生んでいるとは言い難いこと。

確かに、独自調査の廃止により、一部の商品の価格動向が把握できなくなったことは、精度の面ではマイナス材料です。しかし、指数全体(製造業総合ベース)でみると、(a)従来ベースの指数と加工統計化後の指数の動きは概ね一致していること、(b)各指数が対象としている財の投入・産出額を合計した金額(これを「ウエイト対象総額」と言います)の減少も僅かなものに止まっている(投入で-1.3%、産出で-3.1%、1990<平成2>年基準ベース)ことから、指数精度への影響は小さいと判断しています(詳細は、「製造業部門別投入・産出物価指数の基準改定(1995年<平成7年>基準への移行)」をご覧ください)。

日本銀行としては、本見直しにより解放された資源を、よりユーザーニーズの高い企業物価指数や企業向けサービス価格指数の精度向上に振り向けていくことで、作成統計全体としてのスクラップ&ビルドを図っていきたいと考えています。

4−17. 加工統計ということは、ユーザー自身が、企業物価指数を使って指数を作ることができるということですか。

はい。企業物価指数からの具体的な転用関係や、指数作成の際に用いるウエイト等については、全てホームページ上で開示していますので、これらを利用すれば、ユーザーの皆様ご自身で指数を作成することが可能です(詳しくは、製造業部門別投入・産出物価指数の「資料編」をご覧ください)。

また、1995(平成7)年基準指数から作成・公表を中止した「ネット・ウエイトベース」指数や、「グロス・ベースウエイト」指数のうち「部門」指数についても、作成のため必要な情報を提供していますので、日本銀行調査統計局物価統計担当(Tel 03-3279-1111 内線4060)までお問い合わせください。

4−18. 指数作成方法の変更により、過去の指数との連続性が途切れ、長期的な分析に不都合が生じることはありませんか。

1995(平成7)年基準指数から、指数の作成方法を大幅に変更したため、過去の指数との連続性は途切れています。このため、日本銀行では、上記見直しに併せて、見直し後と同様の方法で計算し直した「新」1990(平成2)年基準指数を新たに作成しています。また、「大部門」以上の分類については、これと、1995(平成7)年基準指数との接続指数も作成し、1990年まで遡って時系列を整備しています(4−12参照)。

4−19. 卸売物価指数から企業物価指数への移行に伴う影響は、製造業部門別投入・産出物価指数において何かありますか。

2002年12月に卸売物価指数から企業物価指数へ移行したことにより、製造業部門別投入・産出物価指数では「価格データ(採用品目)の見直し」と「公表日程の変更」を行いました。「価格データ(採用品目)の見直し」では、製造業部門別投入・産出物価指数においては価格データ(採用品目)として、卸売物価指数の品目指数を転用していることから(詳細は項目4-15参照)、価格データ(採用品目)として使用する品目指数を卸売物価指数から企業物価指数に切り替えました。なお、卸売物価指数と企業物価指数は統計として連続していますので、製造業部門別投入・産出物価指数の連続性も確保されています。

また、「公表日程の変更」としましては、企業物価指数が、2003年1月から速報・確報公表体制に移行しましたが、製造業部門別投入・産出物価指数については、速報性に対するニーズが低いことから企業物価指数の確報をベースに作成することとしました。(詳細は、「卸売物価指数の基準改定(2000年基準企業物価指数<CGPI>への移行)に伴う製造業部門別投入・産出物価指数の見直し」をご覧ください)。